観測成果

続・すばる、最も遠い銀河を発見!

2003年11月5日


 国立天文台、東京大学、東北大学を中心とするグループが、すばる望遠鏡を使っておよそ128億光年かなたにある、それまでに見つかった最も遠い銀河2個を発見したことを、以前に報告しました。

http://www.naoj.org/Pressrelease/2003/03/19/j_index.html

 その後の観測により、さらに7個の、同じくらい遠くにある銀河を見つけました。その内の3個は、前回見つかった最も遠い銀河よりも、さらに遠くにあることがわかりました (左図)。

 


国立天文台 柏川伸成博士とのインタビュー:

Q:今回の発見のすごさを、簡単にまとめていただくと、どうなりますか?

A:現在までに論文発表などでわかっている最も遠い銀河ランキングに、今回われわれが発見した未発表の7個の銀河をあてはめてみると、上位10個の内、第5位を除く、9個までが、我々日本人が、すばる望遠鏡を用いて見つけた点です。第5位の銀河は、アメリカ人天文学者が見つけたものですが、一部はすばる望遠鏡によるデータを用いています。

Q:なぜ、そのようなことが可能になったのですか?

A:すばる望遠鏡には、一度に満月の見かけの大きさに相当する範囲を観測できる、主焦点カメラという観測装置があり、世界の同じような大型望遠鏡に比べて、20倍以上も広い領域を一度に観測できます。このカメラの『広い視野』に、すばる望遠鏡の『集光力』、『非常に長い時間の露出』を組み合わせることにより、非常に遠くにある暗い銀河を、一度に数多く見つけることができたのです。今回の観測は『すばる観測所プロジェクトSDF』の一環で、国立天文台ハワイ観測所が主体となって押し進める大規模観測プロジェクトの一つです。このプロジェクトのおかげで、共同利用の枠組みを超えた、豊富な観測時間を投入することができたのです。

Q:今回の発見は、宇宙を理解する上で、どのように重要なのですか?

A:銀河がいつの時代にでき、どのように進化してきたかを理解することは、現代天文学において、解明すべき最も重要な問題の一つです。理論的には色々予言されていますが、実際の観測から、宇宙の非常に遠くにある、昔の銀河を数多く見つけ、その性質を明らかにしなければなりません。すばる望遠鏡を用いて、実際にそのような銀河が数多く見つかり、この研究が可能になりつつあるという点、さらに、世界でも群を抜いた観測成果が出つつある点が、非常に重要なのです。

Q:最後に、今後の目標について、一言お願いします。

A:わたしたちの手元にはまだ多くの、最も遠い銀河の候補天体があります。今後も観測を続けて、さらに数多くの、この時代の最遠方銀河を確認したいですね。

 

 

 

画像等のご利用について

ドキュメント内遷移