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ハワイ観測所の職員ら、平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受ける

2010年4月15日

すばる望遠鏡の高性能観測に多大な貢献

日本時間4月13日の
表彰式にて

 すばる望遠鏡の補償光学装置の開発・製作チームが、このたび「望遠鏡の視力を高めるレーザーガイド星補償光学系の研究」で多大な貢献をしたことが評価され、平成22年度科学技術分野における文部科学大臣表彰を受けられました。授賞式は今年の科学技術週間の最中、4月13日に東京で行われ、チームをリードしてきた家正則さん(国立天文台・光赤外研究部・教授)と、ハワイの現場からは高見英樹さん(国立天文台・ハワイ観測所・教授)、早野裕さん(国立天文台・ハワイ観測所・助教)が科学技術賞(研究部門)の賞状と盾を受け取りました。ハワイ観測所職員が文部科学大臣表彰を受けるのは昨年の布施哲治さん(理解増進部門)の受賞に続いて2件目です。

 研究部門は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った研究者やグループを対象としており、今年は43件の受賞がありました。家さんたちのグループは、 観測対象のそばのガイド星からの光が大気中のゆらぎのために乱されてしまう様子を測定し、その乱れをリアルタイムで打ち消す「補償光学系」という装置を開発してきました。このおかげですばる望遠鏡の解像力を従来の10倍に向上させることができ、大気圏外に打ち上げられた口径2.4mのハッブル宇宙望遠鏡とも競い合う能力を発揮できるようになりました。さらに、ガイド星がそばにない場合でも補償光学系を使えるようにするため、上空90kmの高さで人工的に光る「レーザーガイド星」を作る装置を開発し、補償光学系の適用範囲を拡大させました。

 このようにしてすばる望遠鏡の解像力が格段に向上することにより、系外惑星探査や遠方宇宙探査の分野で観測天文学に新たな知見をもたらしつつあります。チームのメンバーは「補償光学開発チーム全体として受賞させていただいたものと考えています」と述べています。さらに家さんは「レーザーガイド星を利用した補償光学システムは、画像の事後処理によるものではなく、光ビームを直接制御する独創的な技術であることから、観測天文学の発展を可能にするばかりか、眼科医療、リモートセンシング、光通信、レーザー加工、レーザー核融合など広い分野での応用にも貢献できます。」と期待を表明していました。

 すばる望遠鏡のための補償光学装置開発チームについては、これまでに次のような受賞歴があります。

  • 平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 開発部門受賞者 和田 智之(独立行政法人理化学研究所 基幹研究所 副主任研究員)
      「電子制御波長可変固体レーザーの開発」
  • 日本光学会2006年度光設計特別賞: 家正則・高見英樹・早野裕・渡邊誠・大家真・服部雅之・斉藤嘉彦・和田智之・斉藤徳人・赤川 和幸
      「すばる望遠鏡レーザーガイド補償光学系の設計・製作」

 開発の経緯や最新の研究成果については、こちらをご覧下さい。


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