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すばる望遠鏡の10周年を迎えて

2009年1月22日


林正彦・ハワイ観測所長

 今月で、すばる望遠鏡の初観測から10周年を迎えました。それまで口径1.9メートルの光学赤外線望遠鏡しか持っていなかった日本が、口径8.2メートルもの大型望遠鏡をつくり、しかも海外に設置してやっていけるのだろうか? 1999年に行った初観測の結果は、そのような不安を大きく吹き飛ばすものでした。すばるに取り付けた高感度デジタルカメラがとらえた画像には、これまで誰も見たこともないような暗く淡い星々が、目を見張るほど美しくシャープに写っていたのです。
 あれから10年。宇宙最遠方の天体の発見から太陽系の起源を探る研究に至るまで、天文学の広範な分野で、すばる望遠鏡は世界トップレベルの成果を挙げ続けています。このようなすばらしい望遠鏡を実現するために努力された多くの方々に、この場をお借りして感謝いたします。また、この間、私たちの原動力となってきたものは、皆さまがすばる望遠鏡の活躍を応援し続けてくださったことです。あらためて、お礼を申し上げます。
 少し前まで誰もが減速していると思っていた宇宙膨張が、逆に加速していること (暗黒エネルギーの存在) がわかってきました。また、十数年前に初めて発見された太陽系以外の惑星数は、いまや300個を超え、近いうちに地球のような惑星も見つかることでしょう。本日も、すばるが誇る広い視野を持つ高感度デジタルカメラが写し出した、渦巻銀河の高解像度画像を公開したところです。

 すばる望遠鏡は、今後もこのような宇宙の最前線に挑んでいきます。そして、最先端の科学・技術がもたらす感動と興奮をいち早く皆さまに伝えていきたいと思います。

 

国立天文台ハワイ観測所長
林 正彦


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