観測成果

若い星のまわりの小さなうずまき腕

2011年10月26日

  太陽に似た質量を持つ若い星 SAO 206462 のまわりに小さなうずまき腕状の円盤が存在することが、すばる望遠鏡と HiCIAO カメラの観測によって発見されました。このうずまき腕状の構造は、本天体では今回初めて見つかったものであり、ハッブル宇宙望遠鏡などによる従来の観測でも知られていませんでした。若い星のまわりに見られる円盤は惑星誕生の現場であると考えられていますが、今回の観測結果は生まれつつあるかもしれない惑星と円盤構造との関係を調べる上で重要な鍵となると考えられます。

  SAO 206462 はおおかみ座の方向およそ 456 光年先にある 8.7 等級の星で、年齢は約 900 万年と推定されています。星周円盤は直径約 220 億キロメートル、すなわち、冥王星の軌道の2倍程度の大きさに広がっています。

  すばる望遠鏡で撮影された SAO 206462 の画像では2本のうずまき腕がはっきり見えています。このうずまき腕は星周円盤の中に発生する「密度波」として説明できる可能性があります。もしかするとこの画像では見えていない惑星が存在し、それがこの密度波の発生源になっているのかもしれません。

  この画像は、すばる望遠鏡において進行中の SEEDS プロジェクト (系外惑星と円盤の系統的探査を行う、すばる望遠鏡観測戦略枠プロジェクト) の一環として取得されました。米国メリーランド州にある NASA ゴダード宇宙センターで2011年10月18~20日に開催された国際研究会で SEEDS チームによって発表され、NASA ゴダード宇宙センターにより公開されました。


リンク:
  NASA ウェブサイト (紹介記事画像などの素材ページ)
  SEEDS プロジェクトウェブサイト



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