Baseline Specification of MOAO
By M. Akiyama and Subaru ngAO working group
[2011/07/11]
注意
- 大気モデルはGLAOのシミュレーションと同じくRAVEN (カナダで開発されているSubaru用MOAOデモンストレータ) のシミュレーションで用いられているものを使用した。この大気モデルでは、星像に影響を及ぼす大気層を7つに分けている。これまでのマウナケアでの調査結果に基づき、特に地上に近い層の影響が大きいとしている。また、すばるのドームシーイングもこの層に含めてある。
- Laser Guide Star (LGS) 6個および Natural Guide Star (NGS) 3個を視野の周辺に配置した場合のシミュレーションに基づく。詳細な配置についてはSimulation説明資料 (PDF)を参照。
- これらの結果は、1)波面センサーでの測定エラーは入れないnoise freeの仮定、2)可変形鏡も十分な素子数を持つと仮定、した計算結果であり、MOAOで達成されうる理想的な性能を示していると考えて頂きたい。
仕様
| 視野直径 | 2分角(min) - 6分角(max) |
| 焦点 | カセグレン |
| 可変鏡仕様 | 可変形鏡を各ターゲット毎に用意。それぞれの素子数は10x10程度。 |
| ガイド星条件 | LGS 6個とNGS 視野内にR<18等の星が3個程度。* |
| AOシステムスループット | 90%** |
*: 補正性能とのトレードオフであり、1個でも観測は可能、下のEnsquared Energyの図を参照。限界等級についてはチップチルト成分の補正ループの周波数や測定波長についての詳細なトレードオフ検討が必要であり、現在はLGS-AO188と同等と仮定した値。
**: 実際には面分光ユニットや多天体分光ユニットの中に可変形鏡を組み込む形になる。ここでは可変形鏡とその再結像系が加わることのみを想定した数値。
期待される星像
大気条件としてはGLAOの場合の3種類の設定に対して
- 「ほどほどの場合」(=moderate、これよりも良いシーイング条件の発生確率50%くらい)、
についてのみ計算を行った。
ここでは直径120"の狭い視野(6LGSs+3NGSs)、直径360"の広い視野(6LGSs+3NGSs)、
直径360"の広い視野(6LGSs+1NGS)の3つの場合について視野中心からの距離によって
ストレル比と0.12"x0.12"および0.24"x0.24"の領域でのEnsquared Energyがどのように変わるかを示す。計算自体は中心から半径300"の範囲で行った。
J-band(cross), H-band(open square), K-band(filled square)の結果である。
他のガイド星配置のパターンの場合の結果などはSimulation説明資料 (PDF)を参照。ガイド星の数が少ないのに視野中心でストレル比が上がっているのは、ガイド星が多数ある場合にはそれを合わせて推定しているため。
ストレル比
0.12"x0.12" の Ensquared Energy
0.24"x0.24" の Ensquared Energy
装置についての制約
- MOAOは多数の天体について個別に補償を行って観測するモードであり、広視野の撮像観測には向かない。
- 多天体同時面分光観測が想定されるが、面分光を行わない多天体分光も想定出来る。その場合には多数の
可変形鏡が必要になるが、安価な可変形鏡も入手可能になっており、検討の制約にはならないと考える。
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iwata [at] naoj.org