冷却中間赤外線分光撮像装置 COMICS
(Cooled Mid-infrared Camera and Spectrometer)

宇宙の塵から天体の姿に迫る

 マウナケア山頂は空気が薄く乾いているため、湿度の高いところではできない中間赤外線による観測が可能です。COMICSはマウナケアの優れた中間赤外線透過率を生かすための分光撮像装置です。惑星系の形成過程や系外銀河の大規模な星形成現象、また星間空間の固体成分であるダストの形成過程を調べることができます。

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中間赤外線でみた銀河系の中心部

 天の川銀河の中心部には、星だけでなく多くのガスや塵が集まっています。チリが星の光を遮るため、可視光では見えませんが、COMICSは銀河系の中心部であたたかい塵が複雑な構造をつくっている様子をとらえました。明るい点はそれぞれ、塵に埋もれた星によって塵があたためられている所と考えられています。銀河系の本当の中心は、中央右よりのやや暗い部分で、この場所には太陽の数百万倍もの重さの巨大なブラックホールが存在するとされています。

 

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若い星のまわりのデブリ・ディスク

 星は分子雲の中でガスや塵が集まって形成されますが、その際、まずは降着円盤と呼ばれる円盤が形成され、中心の原始性はそこから材料を集め成長していくことが知られています。この天体 (HR4796A) は、円盤からの材料集めがほぼ終わった段階にあると考えられています。COMICSは、中間赤外線の観測により、残された円盤 (デブリ・ディスクと呼ばれる) の姿をとらえることに成功しました。この円盤の中で惑星ができると考えられています。

 

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進化の進んだ星から放出される塵

 星は進化の最終段階では不安定になり、膨張と収縮を繰り返すようになります。この天体も進化の進んだ星で、中間赤外線の3つの波長で観測すると、膨張と収縮の過程で吐き出された塵の分布が均一でないことがわかります。

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 コラム:COMICS

 宇宙では、私たちの日常からかけ離れた冷たいところや熱いところがほとんどですが、星のまわりには常温程度の塵が存在し、COMICSは主にそのような塵が発する中間赤外線を観測します。

 COMICSの観測で一番面白いことは、観測結果の多くが新しい発見だということです。中間赤外線での天体観測は比較的新しい分野で、撮像になると1990年代に入ってようやく行われるようになりました。COMICSは世界で一番最初に完成した、素子数の多い検出器を用いている中間赤外線観測装置です。

 検出器の素子数が多いことに加え、すばるの大口径を使うことで、今までにない高解像度の撮像が可能です。もともと中間赤外線による観測の発達が遅れた理由の一つに、標高の高いところでないと宇宙からの中間赤外線が地上にほとんど届かないという事実がありました。すばる、マウナケア、COMICSの組み合わせは理想的といってよいかも知れません。

 COMICSの主な研究対象は、生まれつつある星、または反対にその一生を終えようとしている星たちです。一方では塵が集まって星が誕生し、一方では星が塵を噴出しながらその一生を終えていきます。そして噴出された塵がまた集まって新たな星が生まれる。このように、たかが塵といっても星の一生に非常に多きな役目を果たしているのです。星がたくさんあつまったものが銀河ですので、銀河の研究でもCOMICSが活躍することを期待しています。

(COMICS サポートアストロノマー藤吉拓哉さん、
すばるリサーチインターン酒向重行さんとの2003年1月のインタビューより)

 


 

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