開催趣旨

我が国の光赤外線天文学は、これまですばる望遠鏡を中心に、特に可視光での広視野能力を生かしたサイエンスで世界第一線の成果を挙げてきました。視野1.5度を誇るHyper Suprime-Cam (HSC)を用いた300夜の戦略枠プログラムに続き、2020年代初頭にはHSCと同程度の視野で2400天体を同時分光できるPrime Focus Spectrograph (PFS)による大規模なサーベイも計画されています。一方で、超遠方銀河の探査や近傍宇宙の塵に埋もれた領域の探査などにおいては、可視光だけでなく(近)赤外線での観測が本質的に重要になります。またHSCの観測でも実証されているように、稀な天体(宇宙再電離期の銀河や AGN、銀河団など)の探査には広い視野をカバーする観測が必須となります。そのため、すばる望遠鏡のHSC+PFSでの可視光サーベイに加えて、赤外線域での広視野撮像・分光観測によって、TMT・SPICA時代に向けて我が国独自のユニークなターゲットを供給できることが、2020年代以降に我々が主導権を確保するために不可欠であると考えられます。実際、我が国では東京大学のTAO 6.5m望遠鏡に搭載予定のSWIMS、すばる望遠鏡の次世代広視野補償光学として開発が進むULTIMATE、JAXAを窓口としてNASAの旗艦ミッションであるWFIRSTへの部分参加の検討など、2020年代に向けて近赤外線での広視野+深観測を想定したプロジェクトが目白押しです。本研究集会では、これまで各プロジェクトで行われてきたサイエンス検討グループを有機的に結びつけ、スペース計画も含めた2020〜2030年代の世界的情勢のなかで、我々がアクセスできる地上・スペースの赤外線観測装置をどのように活用して、我が国のコミュニティとして世界第一線の成果を出し続けていくか、その一つの道筋を描き出すことを目標としています。

なお、本研究集会は国立天文台研究集会として補助を受けています。財源に限りはありますが、旅費の補助が可能です。特に2030年代を担う大学院生・若手研究者への補助を優先します。詳しくはこちらの参加申込のページをご参照ください。

日程と開催場所


世話人

お問い合わせ

本研究会についてご質問・お問い合わせは世話人代表・国立天文台ハワイ観測所の小山 (koyama [at] naoj.org) までご連絡ください。