トピックス

すばる、地元ハワイ島の宇宙教育プログラムを共催

2006年6月5日

 皆さんは、1200万ドルするNASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙服を着たことがありますか。ヒロの学校では、名乗りをあげた生徒の代表が12ドルの簡易版を試着しました。いやな顔ひとつせず加圧式上着と吸湿性抜群の下着(実はオムツ)を着て、仕上げに名前入りヘルメットをかぶると、まわりから爆笑がまきおこりました。また別の学校では、スクリーンに次々と映し出される星雲や銀河の美しい写真を見て、生徒たちから感動のため息が何度もこぼれました。

 今年すばる望遠鏡は、ジャーニー・スルー・ザ・ユニバース(以下、「ジャーニー」と記す)という名の宇宙教育プログラムを推し進めるため、主催者であるジェミニ望遠鏡、W.M.ケック望遠鏡、ハワイ島東部の公立学校を管轄する教育委員会の仲間に加わりました。ハワイ島東部には、すばるとジェミニの山麓施設があるヒロと、ケック山麓施設のあるワイメアが含まれています。そしてアメリカ合衆国首都、ワシントンD.C.のカール・セーガン・センターで開発された「ジャーニー」宇宙科学教育プログラムと科学者をハワイ島東部に呼んで、地元の人々に紹介しました。このプログラムは長期間にわたって地元で科学教育を支援し、活性化をはかることを目的としています。

 このプログラムでは先生向け研修(teacher training)、子供とその家族を対象とした夜の講演会(family science night)、学校における出前授業(classroom visits)の3種類のイベントを全て1週間でこなします。ジャーニー・ウイークは去年に続いて2回目で、今年は1月20日から27日に行われました。その期間に、100人以上の先生が研修に、更にその中の21人が特別研修に参加されました。特別研修を受けられた先生は、今後他の先生を直接指導する役目を担います。ヒロ地区とその北に隣接するラウパホエホエ地区であわせて三回行われた夜の講演会には、合計300人以上が集まりました。

 学校訪問では、28人の研究者と9人の世話人が交代でいろんな学校に行きました。主にカール・セーガン・センターから派遣された7人の研究者が授業を行い、同伴した地元の研究者は今後につなげる短いトークをしました。熱心に話をすることにより、合計8000人以上の生徒と自然科学の楽しさをわかちあうことができました。ジャーニーの授業を受けた生徒の数は、ハワイ島東部地域における総生徒数の85%以上に及びます。すばる望遠鏡に関して言えば、21人の地元研究者のうち、約1/3の8人を輩出しました。この人数だけ見ても、すばるがいかにジャーニーに大きな貢献をしているか、おわかりになると思います。

 ジャーニーの主催者にとって一番嬉しかったことは、研究者、先生、生徒、ボランティア、更に地元の企業やグループを含む参加者全員が、このプログラムを好意的で前向きに受けとめてくれたことです。特に、今年初めて参加して、教育への自信と意気込みを増した若い研究者の方々に大変感謝しています。

 ハワイは、現在カール・セーガン・センターから支援を受けている9都市のうちの1つです。残りの8都市はアメリカ本土にあります。3年目になる来年は、地元のスタッフだけでプログラムを遂行しなければなりませんが、十分にタレントはそろっていると確信しています。私達地元チームが目指しているのは、研究者や先生が楽しく有意義な授業を行うお手伝いをすること、そしてジャーニー・ウイークで生徒たちが感じた興奮を再び教室にお届けすることです。

 皆さんは現在ハワイ州の公立学校において、理科が必須科目でないことをご存知でしょうか?そんな状況だからこそ、理科教育に関心ある人たち率先して、科学は面白くてためになるということを子供たちに伝える必要があるのではないでしょうか。

ジャーニー・スルー・ザ・ユニバースのハワイのサイト
http://mkooc.org/journey



画像等のご利用について

ドキュメント内遷移