トピックス

すばる望遠鏡の共同利用開始予定について

2000年5月11日

国立天文台ハワイ観測所
所 長  安 藤 裕 康

1.すばる望遠鏡の共同利用に向けた準備状況  
  ハワイ観測所は昨年1月のすばる望遠鏡のファーストライト以降、試験用の観測装置を 用いて望遠鏡の各焦点の立ち上げ、調整を行ってきました。得られたデータのうち科学的 価値の高いものについて随時発表してきたことは、ご承知のことと思います。  
  この間、ハワイ観測所は観測装置開発チームと共同作業を進め、第一期観測装置の機能 をチェックする試験観測を順次実施してきました。こうした状況を踏まえ、光赤外ユーザ ーズミーティングや国立天文台「国立天文台すばる望遠鏡専門委員会」の議を経て、2000年10月か ら望遠鏡時間の一部を共同利用に供するべく、準備をすすめてきました。現時点では、 COMICS, IRCS, CIAO, FOCAS, Suprime-Cam, OHSの6装置に天体の光を通し、それ ぞれ初期的段階ではありますが、高い性能が発揮されていることを確認しています。HDS, AOは目下機能試験観測への準備段階にあります。  
  ハワイ観測所としては、こうした準備状況や科学的メリットを検討の結果、 今年度下半期にはIRCSとSuprime-Camの2装置による共同利用を開始する予定です。

2.共同利用開始時期について  
  しかしながら、すばる望遠鏡は極めて大型で複雑な光学・機械・制御のシステムである ため、スケジュールの明確な見通しを得ることが困難であることも事実です。とりわけ、 3月末に起こった主鏡固定点剥離のトラブルは、鏡面精度や観測性能への影響は全くないものの、場所が場所だけに慎重な対応が必要であり、要因の解析と解決、安全策の確立に予想以上に時間をとられる結果 になりました。そのため、予定していた上記2000年10 月に共同利用を開始することは、現時点では難しくなったと考えざるを得ません。この状況に鑑み、共同利用の開始時期を若干遅らせ、「遅くとも2000年12月開始」とさせてい ただきたく、この点のご理解をお願い申し上げます。ただし、今年度下半期の共同利用の 募集要項の配布は、すみやかに行う予定です。
  共同利用観測の準備を進めてこられたユーザーの皆様には誠に申し訳ありませんが、世界最高性能をめざすすばる望遠鏡の立ち上げの事情をご理解下さるよう、お願いする次第 です。  
  なお、この件を含め、すばる望遠鏡において発生したいくつかの初期不良の克服に関する技術的詳細については、次回(6月30日)の国立天文台すばる望遠鏡専門委員会で報告する予定です。

 

 

画像等のご利用について

ドキュメント内遷移