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マウナケアの上空、大火球が飛んだ

2016年9月29日 (ハワイ現地時間)

  天文学者と言えば、夜空を見上げてじっくり星を見ているイメージを持たれるかもしれません。ところが現代の観測天文学者は、望遠鏡に取り付けたデジタルカメラから転送されてくる情報を、コンピューター画面で追いかけているのが普通です。2016年9月20日の夜、マウナケア山頂でそうした仕事をしていたすばる望遠鏡の職員が、夜空で起きた目の覚めるような現象を、カメラの画面越しで目の当たりにするという貴重な経験をしました。

  すばる望遠鏡などの観測所では、観測天体付近に雲がないか、研究者も当番の職員も常に気にかけています。そのためマウナケア山頂には空の状態をモニターするために全天カメラなどが設置され、画像が公開・共有されています (ウェブサイトはこちら)。

  当夜すばる望遠鏡で観測を行っていたサポートアストロノマーの田中壱さんも、観測開始の時間、いつものようにこれらのカメラの画像をチェックしていました。その目の前で、ハワイ大学が設置した全天カメラに大きな明るい筋が出現したのです。田中さんが急いで他のカメラの画像もチェックしたところ、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡が設置した広角の雲モニター用カメラにもその一部が写っていました。どうやらとても明るい流星のようです。全天カメラの画面で見て飛行経路が 90 度以上に達する大火球。その消失点が雲カメラにも捉えられていたのです。

  びっくりした田中さんは、隣で望遠鏡の状態をモニターしていたオペレータのマイケル・レメンさんに「すごい、これを見て」と呼びかけました。振り向いたレメンさん、びっくりして開いた口がふさがらない状態。全天カメラに写るのは流星の明るい部分だけですが、それでもこれほど長い経路。2人で実際の風景を想像し、わくわくしていたとのことです。

  「夜空を見上げていれば、こんな素敵な出来事を目撃するチャンスは誰にでもあるのですね」と田中さんは語っていました。


図1

図1: 2016年9月20日にマウナケア上空に現れた大火球の様子。左側はハワイ大学天文学研究所 88 インチ望遠鏡が設置・運用している全天カメラの画像。ジェミニ天文台とケック天文台の望遠鏡が、レーザーガイド星を使って観測を行っていた。右側はカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡の雲カメラの画像。田中壱さんによる画像キャプチャとコンポジット。ハワイ大学天文学研究所 88 インチ望遠鏡、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡より許可を得て掲載。(クレジット:UH 88-inch Telescope、CFHT、田中壱/国立天文台)






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