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すばる望遠鏡を支えるスタッフ(16)

2007年7月27日

今回は、すばる望遠鏡のメンテナンスを担当している望遠鏡グループの特集です。グループメンバーのうち天文学を勉強してきた友野大悟さんと、電気工学を学び企業で働いていた根岸智さんは、まったく別の道をたどって現在は同じ仕事をしています (情報は掲載当時のものです)。

―― 自己紹介をお願いします。

根岸 :根岸智です。大学で電気工学を専攻し、すばる望遠鏡の設計、製造に関わった後、現在はハワイ観測所で働いています。そうですね、休日は家族と一緒にコナでゴルフをしたり、海に泳ぎにいったりして過ごしています。

友野 :友野大悟です。出身は東京で、名古屋大学、東京大学院で天文学を勉強しました。博士号を得た後は、ドイツで研究員をしていたこともあります。ハワイ観測所に来たのはその後です。休みの日はラジコンの飛行機を組み立てて飛ばしたり、体力作りのためジョギングしたりしています。ホノルルマラソンにも出場しているんですよ。

友野大悟

―― すばるで働くようになったきっかけは?

根岸 :すばる望遠鏡を建設することが決まった会社にいました。製造作業の募集に応募したことが、すばるに関わり始めた最初ですね。その後ハワイ観測所で、引き続きすばるの仕事をしています。

友野 :僕は大学院生時代にもすばる望遠鏡の観測装置を製作するためにハワイ観測所に在籍していました。博士号取得後、ドイツに研究員として滞在している時、すばる望遠鏡で働く公募が出ており、それに応募したのが働くきっかけですね。

―― 仕事内容を教えていただけますか?

根岸 :望遠鏡に不具合が出ると、オペレーターやデイクルーのみなさんから電話がかかってきますので、修理や解決方法をその内容から判断します。例えば、「望遠鏡が動かなくなったから、どうしたらいい」「エラーが出たからどう直したらいい」などといった事を聞かれますね。内容によってはオペレーターが直せるものもあるので、電話で指示をだしたり、自分がマウナケア山頂に上がって直しに行ったりすることもあります。また、望遠鏡を常に改良していく作業も、重要な仕事です。

友野 :僕はみんなの取りまとめ役なので、山頂から不具合の電話を受けて、その仕事を適任者に回しています。つまり夜中にみんなを叩き起こす役ですね(笑)。また、その不具合が簡単に修正可能であれば、私が指示を出します。日本の業者に修理や改造を依頼しなくてはいけない時には、その手続きをしたり、東京にある天文台本部の人に相談したりといった仕事もあります。

―― やりがいは何でしょうか?

友野 :そうですね、やはり重さが500トンもある“巨大な機械”がちゃんと動いたときに感じる充実感でしょうか。

根岸 :指示した小さな星を間違えずに望遠鏡の視野の中に入れる、その高い技術にいつも感動しています。

根岸智

―― すばる望遠鏡のここが好き、ここがやり辛いというところはありますか?

友野 :好きなところは、頑丈な点ですね。壊れないし、美しい天体画像がきちんときれいにでるように作られている感じがします。嫌いなところは、ケーブルが多いところでしょうか。もっとシンプルに作ってあると楽かな、と思うこともありますね。

根岸 :山頂での作業は酸素が薄い場所で行うので、息切れを起こすと辛い面もあります。それでも、自分の指示や作業した通りに動いてくれるという点は素晴らしいと思います。

―― 読者に向けてのメッセージをお願いします。

根岸 :すばる望遠鏡に限ったことではないのですが、一つの物を作れば大きな達成感や満足感が味わえますよね。また、大きなプロジェクトを完成させるには、協調性を持つこともとても大事ではないでしょうか。

友野 :興味を持ったことがあるなら自分で追求することですね。僕は機械を作ったりとか、電気をいじる事が昔から好きだったので、それが今につながっているのかなと思ったりします。日本語でも英語でも、自分が思っていることを的確に伝える訓練をすることも、これからは必要ですね。



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