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すばる東アジア若手セミナー

2006年7月19日

セミナーの様子

 去る2006年3月12日から17日までの間、ハワイ島のカイルア・コナで「すばる東アジア若手セミナー」が開催されました。この催しは国立天文台ハワイ観測所が主催し、日本学術振興会が支援・共催する、アジア学術セミナーの一環として開かれたものです。日本・韓国・中国・台湾・インドネシアからあわせて61名の講師および受講者が集まり、はつらつとしたセミナーになりました。

 セミナーのテーマは、「大望遠鏡と中小望遠鏡の連携観測による宇宙のフロンティアの開拓」です。アジア各国で主流の中小望遠鏡による観測研究と、大望遠鏡での観測をいかに連携させて新たな天文学を開拓するかということをテーマにした講演を、各国の講師の方に準備していただきました。まず、セミナーの最初にハワイ観測所所長(当時)の唐牛宏氏より、このセミナーを通じて東アジアの研究者から、すばるを使ったより多くの観測提案がなされることを期待するという開会の辞がなされました。引き続き講演に入り、韓国からはLee Myung Gyoon氏が系外銀河の星団について、Im Myungshin氏が遠方宇宙での銀河進化について、それぞれすばるを含む観測データをもとに講演をおこないました。中国からはChen Yuqin氏がHDSで得られたスペクトルについてMIDASで解析をおこなった結果を、Fu Jian Ning氏が白色矮星の星震学について講演をおこないました。さらに台湾からはJeremy Lim氏がAGNとQSOの母銀河について可視光と電波で見た特徴について講演をおこないました。日本からは東北大学(当時)の谷口義明氏から、広視野で遠い宇宙を見通すCOSMOS計画についての講演があり、岡山天体物理観測所の佐藤文衛氏からは、すばるを使った太陽系外の惑星探査、さらに国立天文台三鷹の榎基宏氏からは、すばるなどのデータアーカイブを公開するSMOKAというシステムについて、使い方についての実演を交えた講演が行われました。主催者である国立天文台ハワイ観測所は、このセミナーを通じて東アジアの若手研究者にすばるの機能、性能や最新の成果、あるいは運用体制、観測時間の配分など、すばるに関するあらゆる情報を提供し、彼らにすばるのユーザになってもらうことを期待しました。そのため、ハワイ観測所のスタッフが、これらに関する講演をおこない、さらに林正彦副所長(当時)より、「どのような観測プロポーザルを書けば観測時間がもらえるか」という非常に興味深い話題についての講演が行われました。

すばるの見学

 参加者層は当初は若手の研究スタッフを想定していたのですが、各国・地域における制度や人の動きなどの違いがあり、実際にこのセミナーに集まった人の多くは博士課程の大学院生でした。そのため、参加者の多くはハワイに来るのが初めてということで、このセミナーに対する期待の大きさを彼らに実際に会ってひしひしと感じました。

 セミナー2日目にはマウナケア山頂へのツアーを行い、参加者はすばる望遠鏡と、台湾がパートナーとして参加しているサブミリメータ・アレイ望遠鏡(SMA)を見学です。標高4200mにある世界第一級の望遠鏡群を目の当たりにして参加者たちは大変興奮していました。

雨の中国立公園の溶岩の上を歩く
参加者たち

 セミナーは、講師による講演のほかに、希望する参加者も短時間の発表をする機会が与えられました。これは、参加者の間のネットワークを築いていく上で大変役に立ったと考えています。また、中にはすばるでの具体的な観測提案もあり、今後プロポーザルに反映されていくことが期待されます。

 セミナー4日目にはハワイ火山国立公園と、ヒロのすばる山麓施設の見学がおこなわれました。セミナーの期間中はあいにくハワイ全島で天候が悪く、この日も雨の中の見学となりましたが、参加者たちは充実した時間を過ごしたようです。


ルアウの最初に豚を土のオーブンから
出す儀式が行われる。それに見入る
参加者たち

 セミナーの最終日には、全員で会場のホテルのルアウ(ハワイ流のパーティ)に参加しました。セミナーの期間中、ハワイの文化に接する機会のなかった参加者にとって、ハワイやポリネシアの島々の歌や踊りを体験することになったこのルアウは、格別のものとなったはずです。

 東アジア各地域の天文学はここ10-15年の間にめざましい進歩を遂げています。すばるはアメリカ合衆国の中にありますが、日本が作りポリネシアに位置するということで、アジアの中のすばると言ってもいいかもしれません。今回は東アジアの若手研究者を対象にセミナーを開催しましたが、すばるは世界中のいろんな地域の研究者と連携していきながら、望遠鏡の新たな可能性を追求していくような、そんな研究所でありたいと願っています。



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