<第37回大型光学赤外線望遠鏡専門委員会議事録 案>

 

日時:2002年6月25日11時〜16時(日本時間)

場所:国立天文台すばる解析棟TV会議室(TV会議利用)

出席者:安藤、家(委員長)、市川隆、岡村、唐牛(ハワイ観測所長)、

  杉山、田村(幹事)、仲野、野口K(すばる室長)、林正彦、

欠席者:舞原、片ざ、佐藤、福島

オブザーバー参加:山田、関口、Kudritzki, McLaren

 

0. 前回議事録確認(資料37-1、家)

 

1.  国立天文台をめぐる状況について(資料37-2、家)

 法人化等についての状況説明があった。平成16年度から共同利用機関

4機関に再編され、国立天文台は核融合科学研など全5機関で自然科学

研究機構(仮称)となる。これに関連して、ハワイ観測所の機構上の位置

づけ、OSDAとの関係、発給ビザの確認などの問題を検討中。

 また、63歳定年制の施行、宇宙3機関合併に伴う宇宙研との研究協力

関係、天文台の長期計画策定、今年度からの台内運営方針の変化について

概略説明があった。

 

2.  ハワイ観測所報告およびハワイ観測所新体制(資料なし、唐牛)

 4月1日付けで唐牛が所長に、7月1日付けで安藤は光赤外主幹に帰任。

すばる室長は野口。1部門移設により山下、高見、高遠、宮崎がハワイ

赴任。技術系の中桐、沖田、宮下が帰任し、これに伴い、オペレーションの

デークルーを順次RCUH採用の職員で置き換える。さらに共同利用装置の

引渡しに伴う観測所の体制強化の一環として、サポートサイエンティスト

チームの体制を強化し、RCUH技術職員を増員して、サポートサイエン

ティストの負荷の均一化を諮りたい。山頂見学ガイド職も雇用を検討。

所長室に加え、企画室を設け、仕事を5つの部門に再定義する。

 AOのアップグレードを今後の重要項目と位置づけ取り組む。

台内予算配分方針の変更に伴い、すばるの予算は約30億だが、一割以上

の削減が必要と認識。これに伴い第二期装置のプランの執行計画見直し

や企業に支払う保守費等の切り詰めを検討している。

 すばる望遠鏡の観測所時間は、所長裁量時間に位置づけ直して一本化

を諮りたい。望遠鏡時間の有効利用のため、S03からの遠隔観測及び

サービス観測の開始を検討したい。

 

3.  校費・予算(資料37-3b&c、林)

 ハワイおよび三鷹における平成13年度の決算報告を行った。H14年度予

算については、予算ボードからは一割カットと言われている。支出官レ

ートが107円から122円になった影響も大きい。

質疑応答

Q:すばるR&Dはいつ始めるのか?

A:予算ボードの承認は得てないが、開始は可能。R&D配分等は佐藤小

委員会委員長に再依頼したい。

 

4.  望遠鏡・観測装置状況報告(資料37-3d、山下)

 望遠鏡静圧軸受けの油漏れは、風の強い日に起こることから風の影響

を疑っている。油だめのところを風が吹き抜ける影響らしい。ピアの沈下

に伴う水平回転レールの平面度劣化、特に段差の解消は長期運用の観点

から、対策が必要であり、S02B期に最大35夜の運用停止をお願いする

可能性がある。この場合はUH時間の削減についてもUH側の協力を

お願いしたい旨所長から補足があった。

 Elの振れは調整後安定。6月に山頂制御計算機の更新を行った。赤外振

動副鏡の調整が継続中。ラテラルガイドローラの脱落破損。AG/SHシャ

ッター故障中。

 8装置の現状の紹介があった。概ね順調に稼働中であるが、サポート

サイエンティストの顔ぶれがかなり代わった。

質疑応答

Q:MFRONTを更新するのは現実的か?

A:中屋氏の構想はあるようだ。

Q:CCDのreadout noiseの大きさが気になっている。

A:装置内への組み込み時にそうなっている。

Q:Azレールの話。Lookup tableで性能が出ていないのか?

A:安全面での問題。静圧軸受けが損傷を受ける前に修繕することが重要。

 

5.  補償光学アップグレード(資料37-3e、高見)

 補正素子数を188素子(目標)とし、より短波長での回折限界観測を目

指す。レーザガイド星システム化も行う。4W色素レーザ。2004-5年の

完成を目指す。予算として、科研費特別推進(代表:家、5億5千万)

が採択された。

 

6.  ハワイ観測所来訪申請改定の要点(資料37-3f、野口)

 申請書様式を変更する。申請書提出先を三鷹に一本化する。来訪許可と

旅費支給判断を三鷹で行う。UKIRT/UH88利用者への案内についても周知する。

 

7.  すばる望遠鏡スパコン更新について(資料37-3g&h、市川伸)

 今年3月に更新された。CPUとHDの性能向上。ベクトル型をスカラ型に

変更。これはデータ解析には都合が良い。三鷹の解析環境(光赤外デー

タ解析システム)が増強された。

 

8.  共同利用状況(資料37-4a、山田)

 S02A期は望遠鏡・装置は概ね順調だったが、天候に恵まれない。

現在まで共同利用41夜の19夜が天候によるdown time(DT)。

一夜のみ望遠鏡振動でDTが30%を超えた。

 S02B期の公募を4月3日に行い、5月7日に締め切った。公

募夜数85夜(ただし、intensive 15夜を含む)に対し、193件(445夜)

の応募があった。S03A公募予定の概案、サービス観測の導入について

説明、議論があった。

 

9.  観測所プロジェクトの進行状況(資料37-4b、柏川)

 すばるディープフィールドの観測状況について、柏川より口頭報告があっ

た。今期の悪天候の影響で予定より遅れている。

 

 

10.  インテンシブプログラム進行報告(資料37-4c、吉井、谷口)

 進捗状況について文書報告があった。天候不良の影響があったが、所長

の仲介でIRCSの試験観測時間とバーターし、一部実施した。

 

11.  S02Bインテンシブプログラム選定(資料37-4d、家)

 4件の応募があり、すばる専門委員会およびプログラム小委員会合同の

ヒアリングを行った。相対評価による採点の結果、土居氏のCosmology

with High-Redshift Type-Ia Supernovaeを採択した。審査員の範囲、

委員の出席率、採点方法の問題などの指摘があり、審査方法に関しての

議論を行った。レフェリー制の導入などプログラム小委員会で改定案を

考えることになった。

 

12.  ハワイ大学88インチ、UKIRT(資料37-5、田村・関口)

 双方の望遠鏡利用の裏づけとなる協定書に所長サインが終了した。

UH88)2002B期には15件37.5夜の申し込みがあり、日本人向け

UH88/UKIRT TAC会議の結果、10件20夜を配分した。持ち込み装置は東

北大の偏光分光器LIPS。

UKIRT)2002B期に最初の公募を行った。16件39夜の申し込みが有り、

9件10夜の配分を行った。半夜ベースでの調整も行った。

運用予算に関しては今年度から天文台予算ボードを経る。観測旅費も別途

予算ボードで審査される。

 

13. すばる将来計画シンポジウム(資料37-6、林)

 ハワイ時間7月30-31日に開催する。

 

14.  成果論文一覧と広報活動(資料37-7a&b、家)

  パブリすばる特集第二弾、DVD製作などについて報告があった。

 

以上