第9回すばる小委員会議事録案3 ================================================================= 日時:2005年11月16日(水) 11:00〜16:00 出席者:(三鷹)有本信雄、太田耕司、千葉柾司、山田亨、岩室史英、高田唯史、土居守    (ハワイ)臼田知史、唐牛宏 欠席者:小林尚人、片ざ宏一 書記:吉田千枝 ================================================================ =委員長より= 12月に開催されるすばるユーザーズミーティング(UM)では、1日目の午後の ビジネスセッションですばる運用についてのSAC提案をする。 前回のSACシンポでも取り上げた内容だが、まだまだ総花的な内容だった。 本日の委員会ではすばるとして早急に実現すべき事柄と、 第2段階として実施を検討すべきものとに整理したい。 UM前に次の委員会は開催できないので、今日、各々のSAC提案についての 発表者を決めることとしたい。 =議論= ● キュー・サービス観測(山田) UMでの発表者:山田委員 キュー観測実施については、SACシンポでも大きな反対はなかったので、 検討を進めることになっている。 すぐに実施可能なトライアルはどのような形で、最終的にはどのような 運用形態を目指すのかを検討していきたい。 S-CamとHDSについてはキューブロックを作って試行することは可能である。 実施上の問題点:キュー観測をする場合、カテゴリをまたいで、 プロポーザルにランク付けするのが難しい。今回のTACではこの点まで議論 する時間がなかった。 キューとクラシカルとどちらがいいかユーザーの希望を聞く (プロポーザルに記載欄を作る)という議論があったが、 キュー観測分とクラシカル観測分と分けて審査するのか、 など具体化するとなると色々検討の余地がある。 キュー観測を実施する目的は、TACで評価の高い観測課題を完遂したいということと、 時間条件が厳しく、なおかつ高得点の観測課題を実施したいという2点だった。 Q:どうしてもクラシカルでやりたいという人の割合はどれくらいだろうか? A:全く予想がつかない。 S06Bから本当にトライアルをやるか否かを含めて、UMの1週間程前にSAC 提案のアウトラインをメールで回覧してユーザーに各自考えてきてもらうとよい。 Q:サービス観測の延長としてキュー観測を考えるのか? A:今のサービス観測はトライアルなので、それを拡充していく。 ユーザー間にはキューを目指すべきだという議論があり、そのためにはサービ ス観測は不可欠であり、2つを併せて拡充していく必要がある。 サービス観測は現在4時間までとなっているが、それを例えば最大2日とかに 拡大して、本人が観測に来なくてよい、というモードを作ろうという議論も あったが、それは想定していない。それよりもキュー観測の実施を目指したい。 請負観測ではなくて、ダイナミックスケジューリングで観測効率を上げること が目的である。 C:今のサービス観測はアウトプット(成果論文)がまだ出ていない。 フォローアップ調査によるとユーザーの満足度はあるようだが。 Q:キュー観測の場合、オペレーションファイルは観測所の専門家が作ること になるのか? A:そうなる。今のサービス観測が練習ともいえる。 例えばユーザーからどんなキャリブレーションデータをもらったら観測準備が できるか、といったことの検討をしている。 C:キュー観測の場合、ユーザーが観測の進行をチェックして、 インタラクティブに観測方針を変更したりできるのか? 今のサービス観測では、プロポーザルの提出時点で方針を決めなければならない。 例えば2夜の観測で、1夜終了後の判断を2夜目の観測に反映できたらよいのだが。 A:Geminiを例に取ると、自分の観測課題が何%実施できたかはウェブで チェックできるが、インタラクションはない。次のセメスタのプロポーザルに 観測結果を反映させることはできるが、同一セメスタ内では無理だ。 他にインタラクションを実行している望遠鏡もないようだ。 A:モニタリングを整備するのも課題の一つだろう。 ●アウトリーチ(有本) UMでの発表者:有本委員 物理学会誌で特集号を組むのがよいだろう。 ハワイ観測所或いは三鷹の光赤外研究部でまとめ役になる人をアサインする のが望ましい。 C:8月のすばる国際レヴューでは、担当者が自分の判断でアウトスタンディ ングなものを選んでサイエンス発表を依頼した。 まとめ役の判断でラインアップを決めればよい。 ●データアーカイブ(高田) UMでの発表者:高田委員 まずすぐ実施できそうなのが、有名領域の処理済データの提供とデータ 解析セットの提供である。 クオリティコントロールされたデータの提供は、サービス・キュー観測の 検討と同時発展的に進めるべきだろう。 S-CamについてはSMOKAでも少しずつ始めている。 問題点:実施可能な装置が限定されること。 人材とシステム構築が必要だが、計算センターの改編があり、直ちには 進められないこと。 Q:クオリティコントロールは片端からやっていくということか? A:そうだが、広視野撮像(S-Cam)からがまずやりやすいだろう。 C:いつまでに何を整備するかというビジョンが必要だろう。 A:専任ではなくてもある程度できると思うが、できる人を確保するのが難しい。   計算センターは人員の予想がつかなくて難しいので、観測所からデータ処 理をわかってる人を出してもらうほうがよいかもしれない。   計算センターと光赤外研究部の関係は、後者がコンテンツの提供を行い、   前者がその配布を担当するというのが現状でできることである。 Q:計算センターとしてはALMA、Solar-B, すばるのデータの取り扱いは等価なのか? A:ビジョンとしてはそうだが、それぞれほしいデータの質が違うので、 それぞれのプロジェクトから担当者を派遣してもらい、徐々に計算センターに 移管するという形になるだろう。 C:幹事会資料によると、解析ソフトの開発提供は観測所の仕事であり、データ配信が   計算センターの仕事である。 C:データアーカイブの最後の手段としては、データ解析をした人からデータ をもらってくることが考えられる。 A:確かにデータが使われないよりはいいだろう。データは鮮度が大事である。 C:すばるの一番いいデータがHSTのウェブで取れるようでは困る。   GOODS-Nのデータが現にそうなってるし、COSMOSのデータも近いうちに Caltechのページに出そうだ。 A:すばるは外国人の利用者が増えてきているが、特に院生とポスドクが多いようだ。 データ処理についてのフィードバックがあることもあり、役に立つ面もある。 いずれにしてもアーカイブ整備のタイムスケールはきちんと考えていきたい。 ●大学院教育(千葉、土居) UMでの発表者:千葉、土居、岩室委員のいずれか 大学院教育については、1)次世代の育成、2)データ解析者の確保・育成、 3)装置開発、の3つに分けて検討している。 1)次世代の育成 1.1 すばる観測のバーチャルツアーについて C:今ウェブにあるすばる一般見学のバーチャルツアーは一般向けだが、   将来天文学者になりたい人向けのものがあるとよい。 C:学生の中に興味を持って制作してくれる人がいるとよい。   観測に行くときにビデオを持っていって撮影してくるなどが考えられる。 C:ハワイ観測所のUHの学生アルバイトにやってもらってはどうか? C:どの程度のものを出すのかによって実現可能性が違ってくる。   バーチャルツアーといわれると難しいが、紹介のpptファイルを置く くらいなら簡単にできる。   具体案を提示してもらえれば観測所で対応可能である。 C:来年1月に、天文台として1000万の予算をかけ、すばるの3次元バーチャ ルツアーをウェブにのせようとしている(所長)。   Q:各大学では何かやってるのか? A:東北大では、高校生に渡すパンフレットにすばるの写真などを載せているが、 大学のウェブページは各分野を平等に網羅する必要があるので、特にすばるに 紙面を余分に割くことは難しい。 C:いずれにしても、すばるはもっと若い人に開かれたものになるべきだ。 1.2 解析講習会の充実 解析講習・解析パッケージの整備はすぐ実現できそうだ。 現在光赤外研究部のボランティアが行っている解析講習会を定例的に実施できるとよい。 C:S-Camの解析講習会を来年3月にもう一度やる予定になっている。 C:FOCASの解析講習会を近いうちにやりたいと考えている。 C:講習会をビデオにとってウェブで公開するとよいと思う。 C:現状のようなボランタリな実施ではなく、きちんと組織立てて実施するようにしたい。 各装置に詳しい人でWGを作ってはどうだろうか? 三鷹勤務でハワイ観測所併任の人の中から所長が委嘱し、 あらかじめ年間スケジュールに組み込む形で準備してもらえば、十分対応可能だと思う。 C:すばるのウェブをどんどん活用してほしい。SACでやってることもウェブに は載ってない(所長) 2)データ解析者の育成 データアーカイブの有効活用をしながら、研究できる人を育成していく。 アーカイブの項参照。 3)装置開発関係 今後装置開発をしたい人のために、現装置の技術資料を公開する。 各装置のPIに頼んで、今あるものにリンクを張ればよいので、すぐできそうだ。 データの公開は今は18ヶ月後だが、18ヶ月未満でグループにコンタクトし てデータを使うことができないかとか、 プロポーザルに院生枠・D論枠の新設をしてはどうか、 といった議論もあったが、院生枠の創設は時期尚早との意見が出ていた。 C:院生自身がプロポーザルを書く際の手助けになるように、 よいプロポーザルの見本を示すことなども考えられる。 C:SMOKAの中にクオリティランクが示されているとよい。 アーカイブを勝手に使えといわれても難しい。 A:SMOKAにNight operator’s logを貼り付ける準備は進めているところだが、 情報がたくさんありすぎでも使いづらいので、情報を選択して提供する 必要があるようだ。 SMOKAは作成者の中にすばるの熟練ユーザーがいないので難しい面がある。 持ち込み装置については今回のUMでは扱わない。 ●新装置とサイエンス 可視広視野撮像 HyperSuprime 可視広視野多天体分光 WFMOS 近赤外広視野撮像 中間赤外撮像 中間赤外面分光 GLAO+広視野撮像+近赤外面分光 MOAO+近赤外面分光 可視AO(ExAO)+何でも 8月のSACシンポで出た装置提案を絞って上記になった。さらに対象装置を絞って、 それらの新装置を使えばサイエンスとしてどういうことが可能になるのか? ということをUMで議論し、ユーザーの意見をまとめた上で、2月7日に開催 される光赤外専門委員会に上申したい。 * 天文台戦略WGについて Q:台長の呼びかけで天文台戦略WGが発足したが、そのWGとSACは並立の関係なのか? A:そうだと思う。ただWGと意思決定機関との関係がはっきりわからない。   WGの結論がそのまますばるの方針を決めることになるのか、あるいは一つ の提言として扱われるのか、不明である。  C:SACシンポ等がそのWG発足の契機となったようだ。 C:天文台戦略WGの新しい画期的な点は、10年計画を立てるための予算的な 見通しを立てようとしている点だ。 C:装置開発は今までとは違うやり方になるのか?これまでは装置を作りたい 人が作っていたが、これからはユーザーからこういう装置がほしいという 要求があって、作ることになるのか? * ダークエナジー研究会について C:WFMOSについて、11月7日〜9日に開かれたGeminiとの研究会 (ダークエナジーWS)の報告は必須だろう。 C:研究会報告はNOAOのウェブに載せることになっているが、 日本語のサマリは天文月報や天文台ニュースに載せる予定。ダイジェスト版は 早めにすばるのウェブに載せたい(所長)。 Q:HyperSuprimeとWFMOSについて、UMでの所長提案はどういうものになるのか? A:HyperSuprimeについてはきちんと説明したいが、WFMOSは、まだGeminiから 人を呼ぶレベルではないと考えている(所長)。 C:ダークエナジーWSの概略 ダークエナジーと銀河研究(アーキオロジー)を2本柱にしたすばると Geminiユーザーのサイエンス研究会(ビジネスセッションはなし)で、 11月の第1回目はダークエナジーについてハワイで行った。 来年の4−5月頃できれば東京で、2番目のテーマに即した研究会を 同じようにしたいという希望がGemini側にある。 ハワイ観測所はまだ積極的に取り組む体制にはなっていない。 行うことになれば旅費等の工面はすることになろうが。 今回のWSで、WFMOSがダークエナジー決定に一番期待されているということ はわかった。 C:ダークエナジー(w)のどういうところが面白いのか、wが決まったら、 次にどんなステップがあるのか? 第2回に銀河を扱うのではなく、ダークエナジーを掘り下げたほうがいいの ではないか? C:WFMOSで何ができるかを日本のユーザーは知りたいはずだ。 C:日本に自分のサイエンスとしてやりたい人がいるかどうかが大事だ。 C:国内での研究会も必要だろう。 C:すばるで次期10年間、30億出してやるべき装置なのか?という判断が必要だ、 C:wの精度はどのくらい要求されるのか? C:wの値が出たら、理論モデルにどのような波及効果があるのか? C:ダークエナジーは政治家や物理の人を巻き込みやすいので、素人にわかるようなトークがあるとよいだろう。 C:理論関係者を中心とした小研究会を日本で来年やりたいと考えている。 C:すばるは日本の望遠鏡だから、共同研究だけでは損をしたと思う人が出てくる。 C:予算的に厳しい現状では、費用の半分を向こうが負担してくれて、分光器ができるのはよいという考え方もあるかもしれない。 C:自分はやらないがサイエンスとしての重要性は認める、という議論ではなく、 本当にやりたい人がいるかどうかが重要だ。 C:すばるはWFMOS専用にはならない。Geminiが要求している100夜というのは 大きいので、その分Geminiの時間をもらうことになるだろうが、Geminiを使い たい人がそんなにいるだろうか? C:Geminiはすばるだけをパートナーと考えているのか? *UMでの新装置に関する議論の枠組みと担当者 今度のUMでは、HyperSuprimeとWFMOSについてはSAC提案というよりも所長提案 と考えて、以下の3種の装置に絞って、ユーザーの議論を深めたい。 ・近赤外広視野撮像(GLAOでもナチュラルシーイングでもよい、 多天体面分光も含めてよい):有本*、(山田)、高田 ・中間赤外撮像、中間赤外面分光:片坐*、(臼田) ・MOAO+近赤外面分光、可視AO+面分光:小林*、山田、臼田、岩室      *)講演予定者 ●Geminiとのマシンタイムの交換(所長、追加資料) S06BからGeminiとの5夜の時間交換を始めようという所長提案。 対象装置は、すばるのS-Cam, MOIRCSとGeminiのGMOS-N、GMOS-S、NIFS。 NIFSはAOつきの近赤外面分光装置で、IFUモード。Mt.Stromloの焼けて しまった装置と同型である。 相手の望遠鏡を使うのであっても自分たちのTACがプロポーザルを審査する。 Geminiではキュー観測モード、すばるではサービス観測モードで実施する。 日本人のGeminiでの観測は、日本人がサポートできるように、スタッフの トレーニングをする。 天気が悪かったら、次のセメスタでコンペンセーションする。 MOIRCSは撮像のみとする。 Q:たとえばGemini-SのGNIRSを使うことも可能か? A:検討の余地がある。 Q:Geminiのキューモードはクオリティコントロールするところまでやるのか? A:そうだ。 Q:最低は半夜?1夜? A:彼らは1時間でもやるので、それはすばるの考え方次第だと思う。 Q:将来的には5夜以上に増えていくのか? A:そうなるだろう。そのうちKecKからも時間交換の提案があると思う。 C:日本人には面分光(GMOS)の需要は比較的少ないのではないか? 装置の数を限ってGeminiから1つ利用するとしたら何だろうか? C:Gemini-SのFlamingos−2はAOつきのMOSで2’x2’。 C:Gemini-SのT-ReCSを使いたい。 Q:技術審査はどうするか? Q:どの装置でもよい、としたらどうなるのか? Q:時間交換のプロポーザはレフェリー審査に付さず、TACの直接審査となるのか? 通常のプロポーザルと一括審査するのか、それとも別枠審査となるのか? プロポーザル提出時点では、例えばGMOSだったらこうで、FOCASだったらこう、 という風に書いてもらうのか? A:プロポーザルの出し方や審査のやり方は細部をつめる必要がある。 とりあえずの1歩がこの所長提案である。時間交換の際には、同じ観測所が 運用しているように見えることが大事である(所長)。 Q:8月の国際評価についての報告は含まれるのか? A:時間がないので、報告書の置き場所をアナウンスする程度になる。 最終報告書は今まとめているところである。 ●来年度のSACの活動について(委員長) 今年のような委員会を存続させるのがよいか、各委員の意見を聞きたい。 ――>今の機能を残すのがよいだろう。意見を出す場所があったほうがよい。 ただし今年のように毎月の開催は負担が大きいので、隔月くらいが適当だろう。 ●SACとUHとの連絡について IfAのメンバーをSACに参加させるという議論があったが、そのままになっている 点について対応を促す意見が出ている。 C:彼らの本意はすばるのボードに出席したいということだが、 すばるにはボードはない。   たとえばGeminiのボードに出席すると、1年後にGeminiで起こることが 全てわかる仕組みになっている。 今のSACにIfAメンバーを呼ぶのでは双方にメリットがないのではないか?(所長) C:彼らの意見を聞くという意味では、今度のUMで半日英語セッションが あるので、有効だろう。 ● 次回SACについて UM前は開催が難しいので、UMでの発表案はメールで回覧することとし、 次回は1月中旬に開催する。その際に2月6日の光赤外専門委員会に提出する報告書をまとめる。 また、来年度のSAC委員の推薦、及びSACの活動内容についての提言を盛り込む。 ■資料 1 会議進行予定 2 第8回すばる小委員会議事録 3 ユーザーズミーティング・セカンドサーキュラー 4 SAC活動内容 5 前すばる専門委員長からのメール 追加資料:Geminiとの時間交換案