地球型惑星探査のための赤外線ドップラー装置の開発

田村元秀 (国立天文台)

1995年の太陽以外の恒星を周回する系外惑星の発見以来、系外惑星の研究は天
文学における最重要課題のひとつとなった。わずか15年のあいだに500個を超
える候補が発見された今、系外惑星研究は確実に「地球」型惑星の検出と統計
に向かっている。地球型惑星は、木星型惑星と比べてはるかに軽く、主星に近
いため、直接観測はまだ困難で、当面の目標は間接的検出となる。中でも、ド
ップラー法を利用した、太陽型星よりも軽い恒星(M型星)のまわりの地球型
惑星検出は有望であるが、従来の可視光ドップラー分光器では主星が暗すぎる。
そこで、我々は、すばる望遠鏡のための赤外線高精度高分散分光器(1m/sの精
度を目指した赤外ドップラー装置;IRD)の開発を開始した。これによって、
太陽近傍に多数存在する1000個程度のM型星のまわりのハビタブル地球型惑星
の系統的探査を行うことが可能になる。キーとなるのは、オリジナルな周波数
コム波長校正、4096x4096素子を視野に入れた赤外線検出器とその読み出し、
高分散素子、ファイバーカップリング、赤外波面補償光学という各種の赤外線
新技術である。これらの技術やIRDで発見される地球型惑星は、次世代超巨大
望遠鏡TMTによる直接観測への挑戦にも活かされる。本講演では、IRDの最新仕
様、概念設計、期待されるサイエンスについて報告する。