観測成果

すばるが写した「長方形銀河」の秘密

2012年4月3日

  オーストラリアの研究者を中心とする研究チームは、長方形の形状を示す銀河 LEDA 074886 の撮影に成功しました。その形はまるでエメラルドカットを施したダイヤモンドのようです。この「長方形銀河」が見つかったのは、研究チームがすばる望遠鏡に搭載された Suprime-Cam を用いて NGC 1407 という銀河 (エリダヌス座の方向、距離 7000 万光年) の周囲の球状星団を探査していたときのことでした。論文の筆頭著者であるアリスター・グラーム (Alister Graham) さん (スウィンバーン工科大学/Swinburne University of Technology) は、「見つけたときは笑ってしまうほど驚きました。こんな銀河、存在するはずがないと思ったのですから」と心境を語っています。


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: すばる望遠鏡で撮影された「長方形銀河」LEDA 074886 の擬似カラー画像。中心部のコントラストは、内側の円盤構造が引き立つように調整されています。リー・スピットラー氏 (スウィンバーン工科大学) 合成 (米国天文学会アストロフィジカルジャーナル誌より転載)。


  銀河と聞いて想像する形は、渦巻き円盤型や楕円型、あるいは不規則型でしょう。実際、私たちの近傍に存在するほとんどの銀河はそのような形をしています。一方今回写し出された LEDA 074886 の姿は、エメラルドカットを施したダイヤモンドのような長方形。すばる望遠鏡の持つ広い視野のお陰で、研究チームが狙っていたもともとの観測対象とは別に、この不思議な形の銀河を見いだすことができたのです。LEDA 074886 が私たちの住む天の川銀河に比べて 50 分の1ほどしか星がない矮小銀河であるため、これまでその不思議な形が気づかれていなかったようです。

  LEDA 074886 の形について研究チームは、厚みのある円盤状の銀河を横方向から見ているために長方形に見えているのではないか、と考えています。共同研究者のダンカン・フォーブスさん (スウィンバーン工科大学) は、「この銀河は2つの渦巻き銀河の衝突でできた可能性があります。衝突する銀河の中に元々あった星々が長方形の対角線状にまき散らされた一方で、ガスは中央面に沈みそこで新たに星が作られたことで、結果としてこのような形になったのではないでしょうか」と、この銀河の生い立ちを推測します。「様々な銀河の進化を理解する上では、星生成を伴う場合の進化と伴わない場合の進化、両方のシミュレーションで得られた知見を組み合わせて考えることが大事だということですね」とグラームさんは今回の発見の意義を語ります。

  将来もし天の川銀河がアンドロメダ銀河と衝突したならば、私たちも四角い銀河の住人になるのかもしれません。


  本研究成果は、2012年5月1日発行のアストロフィジカルジャーナル誌に掲載される予定です (Graham et al. 2012, "LEDA 074886: A Remarkable Rectangular-Looking Galaxy", ApJ 750, in press)。




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