観測成果
銀河宇宙への足掛かり -- NGC2403
2005年10月13日
【観測条件】 | ||
天 体 名: | 渦巻銀河 (NGC2403) | |
使用望遠鏡: | すばる望遠鏡 (有効口径8.2m)、主焦点 | |
使用観測装置: | Suprime-Cam | |
フィルター: | B (0.45μm)、R(0.65μm)、IA651(0.651μm) | |
カラー合成: | 青(B)、緑(R)、赤(IA651) | |
観測 日時: | 世界時2002年10月31日(B)、11月5日(R)、10月30日(IA651) | |
露出 時間: | 960秒 (B)、480秒 (R)、480秒 (IA651) | |
視 野: | 26.7分角 x 21.3分角 | |
画像の向き: | 上が北、左が東 | |
位 置: | 赤経(J2000.0) = 7時37分、 | |
赤緯(J2000.0) = +65度36分 (きりん座) |
すばる望遠鏡の主焦点カメラ Suprime-Cam が渦巻銀河 NGC2403をと らえました。銀河の全体について、これほど鮮明な画像を得られたのは今回が初めてのことです。地球から約1000万光年という比較的近傍にある NGC2403 は、渦の巻き方が比較的緩い Sc型 と呼ばれる銀河です。 私たちの銀河系 (天の川銀河)の半分ほどの重さを持ち、内部には多量の中性水素ガスをもつことが知られています。渦巻き腕には、活発に星生成を行う赤色の領域 (HII領域) や青色の若い星の群 (OB アソシエーション)、ダストによって星の光が隠されている暗黒帯が見られます。
NGC2403は天文学の歴史上、重要な役割を果たしてきました。古くはエドウィン・ハッブルが提唱した「遠くの銀河ほど速い速度で我々から遠ざかっている」という宇宙膨張則 (ハッブルの法則) の根拠となる銀河の一つです。また「渦巻き銀河の回転速度と絶対光度 (*) の間に一定の関係がある」としたタリー・フィッシャー関係を導いた10個の銀河の一つでもあります。NGC2403 は、私たちが宇宙の広がりを認識していく中で、銀河の距離決定の基礎となった重要な銀河といえます。
大きく立派な銀河は、小さな矮小銀河などが衝突合体を繰り返して
(*) 絶対光度:天体を 32.6光年 (=10パーセク) の距離に置いたときの光度のこと