観測成果

250 万光年かなたの星の世界

2001年9月7日

Suprime-Cam によるアンドロメダ銀河のカラー画像 [B、V、Hαフィルターを用いて、2分間露出の画像を各5枚使用;視野は18×25分角]
中解像度 (353KB)
高解像度 (3.5MB)

 すばる望遠鏡の主焦点カメラ Suprime-Cam が捉えたアンドロメダ銀河の南西部分です。アンドロメダ銀河の中にある星が、たくさんの小さな白い点として見えてみます。画像には、これまでは分解することのできなかった数多くの暗い星や星団・星雲が写しだされています。これらの観測データを詳しく調べることにより、銀河内における星の形成や進化について、新たな認識が得られると期待されています。

 このすばらしい画像は、青 (Bバンド)、緑 (Gバンド)、赤 (Hαバンド) の各フィルターによる露出時間 2 分間の画像を合計 15 枚用いて作られました。赤のフィルターは、水素ガスが発する光を写し出しています。画像の視野は、横 18 分角、縦が 25 分角です。観測データの解析処理は、宮崎聡 (国立天文台)、小平桂一 (総合研究大学院大学)、ヴラダス・ヴァンセヴィシウス (リトアニアのビリニュス天文台) らによって進められています。

 アンドロメダ銀河 (M31 または NGC224) は、地球から約 250 万光年の距離にある (下記の用語参照)、最も近い大型の銀河です。私たちの銀河系 (天の川銀河) によく似ているアンドロメダ銀河を外側から眺めることにより、銀河の中で星形成の状況が銀河中心からの距離によって変わる様子を容易に調べることができます。画像の左上から右下にかけて、星の色が黄色から青色に変わっているのがおわかりになるでしょうか。この色の変化は、星の形成や進化の歴史を反映しているのです。銀河の中心方向 (画像では左上) に向かって見えているのは、アンドロメダ銀河が作られた、主に数十億年も前に形成した星の光であると考えられています。銀河の中心と反対の方向 (右下の方向) では、数多く存在する若い星が発した青色の光の方が古い星の出す黄色い光よりも強いために、青く見えているのです。

 すばる望遠鏡は、広い領域にわたって非常にシャープな天体画像を得ることができます。天体の光を集める能力は、アンドロメダ銀河の地図や天体のリストを作るために使用されてきた望遠鏡に比べて、すばる望遠鏡は4倍もあるのです。つまり、すばる望遠鏡と Suprime-Cam を使うことにより、アンドロメダ銀河のこれまで以上に詳しい地図や数多くの天体のリストを作ることができるようになります。アンドロメダ銀河は、銀河の誕生や進化を理解していく上で重要な役割を担ってきました。すばる望遠鏡により、アンドロメダ銀河の研究がさらに進み、銀河がどのようにして生まれ進化していくのかという謎を解明する手がかりが得られると期待されています。

用語: 1 光年は、光が一年間かかって進む距離のこと。およそ 9.46 兆キロメートル。地球と月を往復する距離の1,200 万倍以上に相当。

 

 

 

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