すばる秋の学校2018
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遠方銀河コース

遠方銀河の星形成活動とその進化を探る

すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC) で取得された画像から構築された遠方銀河サンプルをもちいて、それらの星形成活動や質量についての統計的性質を調査します。異なる時代にある銀河の性質を比較することで、銀河の性質の進化について考察します。

Hyper Suprime-Camで取得された画像

Hyper Suprime-Camで取得された画像

現在おこなわれているHSCによる大規模サーベイで撮影された画像です。しみのように見える点の一つ一つのほとんどが数億から数千億もの星の集団である銀河です。この画像はサーベイ観測で取得されたデータのほんの一部に過ぎません。

 指導プラン(4日間で学べること)

 
遠方銀河コースでは、トップ画像に見られるように、大量の銀河サンプルを扱った研究をおこないます。したがって、ひとつひとつの銀河の個性をくわしく調べることはせず、多くの銀河について統計的に調査することで、種族としての銀河の平均的な姿やそのばらつきを明らかにします。
 

  • 1日目:HSCのサーベイデータについて理解し、そのデータからどのような銀河の基本的な物理量(距離、質量、星形成率など)が得られるのか、また各物理量がどのように求められ、どのような意味を持つのかを学びます。次に、大規模なカタログデータの扱うための準備をおこないます。
  • 2日目:あらかじめ用意されたカタログデータを用いたデータ分析をおこないます。ここでは、統計量のえらびかたや効果的な可視化についても考察します。また、いくつかの銀河については実際の画像も
  • 3日目:ひきつづきデータ解析およびその結果の考察をおこないます。得られた結果をもとに、プレゼンテーションの準備をおこないます。
  • 4日目:研究成果発表会で発表をおこないます。

 本コース受講希望の方へ

 
現代天文学はビッグデータ時代になっています。ひとつひとつの天体を詳細に調べる研究にくわえ、HSCサーベイのような圧倒的な量のデータを調べることで見えてくる宇宙の姿もたいへん興味深いものです。本コースではそのような大量のデータを用いた分析をおこないます。ただし、数値としてのデータだけを扱うだけではなく、その数字の物理的意味や天文学的な文脈などを押さえること、それをプレゼンテーションしてつたえることにも重点をおきたいと思います。
 

[スキルについて]
基礎的な統計の知識とそれをプログラミングで表現できるスキルがあると分析がスムーズに進むと思います。採択された方に出される予習課題でかなりできるようになるとおもいますので、それ以上のことについて必要に応じて解説します。HSCサーベイの画像データは国立天文台が開発した「HSCビューワ(https://prc.nao.ac.jp/citizen-science/hscv/index.html)」というウェブアプリケーションを使って触れることができます。研究用途以外でも見ているだけでたのしいので、学校開始前に見てもらえると実際にどのようなデータを使って研究するのかイメージがつかみやすくなると思います。

講師紹介

 
小野寺仁人
小野寺仁人
Masato Onodera

 

 

研究内容の紹介

  •  銀河の形成と進化について、特に星形成活動がもっとも盛んだったおよそ100億年前、赤方偏移2前後に焦点をあてて研究をしています。なかでも銀河の星形成率、金属量、恒星種族の性質などに注目し、すばる望遠鏡やケック望遠鏡などの大型望遠鏡を用いて観測的に明らかにしたいと 考えています。また、最近では、ヨーロッパ南天天文台のVLTで取得した面分光観測データを通して、近傍円盤銀河をこれまでにないほど詳細に調べることで、そこで起きている物理過程や銀河の進化についても明らかにしようとしています。

略歴

  • 2016年3月-現在: 国立天文台ハワイ観測所 助教
    2010年10月-2016年2月: スイス連邦工科大学チューリッヒ校 (ETH Zurich) 博士研究員
    2008年10月-2010年9月: 原子力・代替エネルギー庁 (CEA) 博士研究員
    2006年10月-2008年9月: 韓国延世大学 BK21 フェロー
    2006年4月-2006年10月: 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト 研究支援員
    2006年3月: 東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了 [博士(理学)]

専門分野

  • 銀河天文学、光赤外線天文学

所属学会

  • 日本天文学会

主要業績 (論文、著書)

  • Onodera et al. 2016, The Astrophysical Journal, 822, 42, "ISM Excitation and Metallicity of Star-forming Galaxies at z ≃ 3.3 from Near-IR Spectroscopy"
  • Onodera et al. 2015, The Astrophysical Journal, 808, 161, "The Ages, Metallicities, and Element Abundance Ratios of Massive Quenched Galaxies at z ≃ 1.6"
  • Onodera et al. 2010, The Astrophysical Journal Letters, 715, L6, "A z = 1.82 Analog of Local Ultra-massive Elliptical Galaxies"
  • Onodera et al. 2010, The Astrophysical Journal, "A Wide Area Survey for High-Redshift Massive Galaxies. II. Near-Infrared Spectroscopy of BzK-Selected Massive Star-Forming Galaxies"
  • Gobat et al. 2011, Astronomy & Astrophysics, 526, 133, "A mature cluster with X-ray emission at z = 2.07" 
 
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