すばるが解き明かす宇宙 Ⅶ

宇宙論

 宇宙そのものの構造や成り立ちをさぐる学問は宇宙論とよばれます。すばる望遠鏡を用いた遠方天体の観測は、観測的宇宙論にも大きく貢献しています。


銀河団による重力レンズ像

 私たちから約 98 億光年の距離にあるクエーサーが、途中約 62 億光年の距離にある巨大銀河団 (太陽質量の 300 兆倍) によって重力レンズを受けて、4つの像をつくっています。これは銀河団によって引き起こされるクエーサー重力レンズとして見つかった最初のもので、像の間の距離も最も大きいものでした。この観測により、依然として正体不明の暗黒物質が銀河団を満たしていることが裏付けられました。



超新星によってさぐる宇宙膨張

 約 140 億年前の誕生以来、宇宙は膨張しつづけていることが知られていますが、その膨張速度は宇宙に含まれる物質とエネルギーの量で決まります。遠方の天体までの距離と、それが私たちから遠ざかる速さを測定すると、宇宙の膨張速度を知ることができます。この研究には、最大光度を正確に推定することができるⅠa 型超新星が用いられます。すばる望遠鏡はこれまでほとんど見つかっていなかった 70 億光年かなたの超新星を既に 40 個以上発見しました。この研究から、宇宙膨張が加速しているらしい、という近年の驚くべき観測結果を、はるかに高い精度で検証できる見込みです。



暗黒物質の分布を描き出す


重力レンズ効果を用いて明らかにされた暗黒物質の分布。縦 (高さ) が奥行き方向 (単位は赤方偏移) 、それ以外が空間的なひろがりを表しています。

 銀河はさらに大きなスケールで群れをなし、「大規模構造」をつくっていることが知られています。ハッブル宇宙望遠鏡などとの共同観測により、この構造が起こす重力レンズ効果が詳しく調べられ、暗黒物質の分布が初めて描き出されました。すばる望遠鏡の主焦点カメラを用いた多色撮像観測は、解析に用いられた銀河の距離を推定するのに貢献しました。





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