すばるが解き明かす宇宙 Ⅴ

最遠の宇宙

 宇宙においては、遠くの天体を観測することは、昔の宇宙の姿を見ることになります。宇宙誕生は約140億年前。すばる望遠鏡は、約130億光年かなたの銀河を続々と発見しています。当時は星の大集団・銀河がまさに形成される時期にあたり、宇宙の歴史上でも最も興味深い時代です。


すばるが見出した最も遠くの銀河


主焦点カメラに新しいフィルターをつけて観測することによって見つかった、赤方偏移 7 の銀河 (拡大図) 。この天体に対して微光天体分光撮像装置 (FOCAS)を用いた分光観測が行われ、水素による放射光の検出によってこの銀河の赤方偏移 (距離) が正確に求められました。

 最も遠くの宇宙を見てみようと計画された「すばる深宇宙探査」 (2ページ参照) 。その領域についてさらに観測を加えることにより、赤方偏移 7、距離にして約 128 億 8000 万光年にある銀河を発見しました。これは 2006 年 10 月現在、分光観測によってはっきり距離が測定された銀河としては最も遠方にあるもので、ビッグバンからわずか約7億8000万年後の時代の銀河がとらえられたことになります。この観測でとらえられた銀河は、もう少し近くの銀河の個数分布を延長して得られる予測よりも少なく、銀河の観測がいよいよ宇宙初期の銀河誕生の時期に踏み込んできたと考えられています。



最遠の銀河団

 現在の宇宙では、数十個の銀河が狭い範囲に集まっている銀河団が存在していますが、このような巨大な集団がいつ、どのように形成されたのかはわかっていません。すばる主焦点カメラによる観測で、127 億光年かなたの広範囲の宇宙地図が作成され、そのなかに銀河の群れを発見しました (図中、四角で囲まれた銀河たち) 。これは生まれたばかりの銀河団で、現在見られるような巨大な集団へ成長していく最初の段階の姿と考えられます。



128 億光年かなたの星が起こした大爆発ガンマ線バースト


ガンマ線バースト GRB050904 の残光スペクトル (発生から 3.4 日後のデータ) 。上段が検出器上に写ったデータで、中段が光の強度になおしたスペクトル。水素原子による吸収で短い波長の光が吸収されてしまっている。曲線は理論モデル。下段では地球大気の発光 (観測の障害となる) のスペクトルを比較のために示している。

 ガンマ線バーストとよばれる巨大爆発 (23ページ) が遠方の宇宙にも発見されています。Swift 衛星で 2005 年 9 月に発見されたガンマ線バースト天体 GRB050904 の分光観測がすばる望遠鏡によって行われ、この種の爆発現象ではこれまで知られているなかで最も遠方 (128億光年) であることが明らかになりました。この爆発によって放たれた光には、当時の宇宙の情報が刻まれており、宇宙は誕生後 9 億年の時点で電離されていたことが明らかになりました。これは宇宙における最初の天体形成を理解するうえで重要な情報をもたらすものです。



研究者からのコメント:

 すばる望遠鏡は遠方銀河の探査では群を抜く研究成果を上げており、国際的にも高い評価を受けています。これは、切れ味鋭い撮像性能をもちながら、広視野を一気に観測できる主焦点カメラがあるからです。最近では、ハッブル宇宙望遠鏡との連携で、宇宙の暗黒物質の研究に重要な役割を果たしています。このように複数の偉大な望遠鏡が連携して、今までにできなかった研究プロジェクトが今後も推進されていくことを期待しています。

谷口義明 愛媛大学教授





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