すばるが解き明かす宇宙 Ⅲ

銀河系とその仲間たち

 私たちの太陽系は、天の川銀河 (銀河系) とよばれる星の大集団に属しています。銀河系から約250万光年の距離にあるアンドロメダ銀河は、銀河系と同じくらいの大きさで、渦巻状の銀河であるという点でもよく似ています。この2つの銀河のまわりには、小さな銀河が数十個存在していて、全体で銀河のグループを形づくっています。銀河の形成を知る上で、これらの天体は重要な情報をもたらしてくれます。


アンドロメダ銀河の星の世界

 アンドロメダ銀河は、最も近くにある大型銀河で、肉眼でも確認することができます。しかし、数度角に広がっているので大型望遠鏡で全域を観測することはなかなか困難です。すばる望遠鏡の主焦点カメラは広い視野をもっているのが特長で、この銀河の南西部の広い範囲 (黄色い四角) を詳しく描き出すことに成功しました。右の画像の左上から右下にかけて、星の色が黄色から青色に変わっています。これは銀河の中心近くには数十億年も前に形成された古い星 (黄色い光を特徴的に放つ) が多く、銀河の外側では若い星 (青い光を放つ) が数多く存在していることを意味しています。このような観測から、渦巻銀河がどのように形成されてきたのかを知る手がかりが得られます。



矮小銀河の構造

 銀河系のグループには、小さな銀河(矮小銀河)も多数属しています。銀河系とアンドロメダ銀河という大型銀河から比較的離れたところにある矮小銀河は、他の銀河と相互作用することなく進化し、構造も単純であると考えられてきました。しかし、すばる望遠鏡主焦点カメラがとらえた矮小銀河Leo Aの星の分布を調べると、孤立して存在しているこの銀河も複雑な構造をもっていることがわかり、矮小銀河もさらに小さな銀河が合体して形成された可能性が示されました。



宇宙の初代星に迫る


最も重元素組成の低い星 HE1327-2326 と太陽の可視光スペクトル ( 波長ごとの光の強度分布 ) 。上はすばるによる観測の準備のためにとられた波長解像度の低いスペクトルで、下がすばる望遠鏡高分散分光器( HDS )によるスペクトル。太陽では、表面にある重元素による光の吸収線が無数に存在しますが、HE1327-2326 ではそれがほとんど見られません。

 銀河系には、宇宙誕生からまもない時代に誕生した星の生き残りも存在しています。ビッグバン後の宇宙は水素とヘリウムだけからなり、宇宙の初代星は重元素を全く含んでいなかったと考えられています。すばる望遠鏡による観測で、これまでに知られているなかで最も重元素組成の低い星が発見されました。この星の化学組成には宇宙の初代星がどんな天体だったのかを調べるための情報が含まれていると考えられています。



研究者からのコメント:

 すばる望遠鏡は広域撮像に優れており、この特性を生かして矮小銀河のハロー構造発見の一番乗りを果たすことができました。この発見によって、矮小銀河も複雑な形成の歴史を辿ったことがわかります。今後も局所銀河群にある多数の銀河のハロー構造の系統的な研究が期待されています。

有本信雄 国立天文台教授





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