すばるが解き明かす宇宙 Ⅱ

星・惑星系の誕生

 太陽のような星は、現在も宇宙のあちこちで生まれています。星が生まれるのはガスや塵が集まって密度が高くなったところ。このような場所を観測するには、赤外線観測が威力を発揮します。解像度の高いすばる望遠鏡の赤外線観測は、星が生まれる様子をつぎつぎと明らかにしてきています。また、星の運動の精密測定による惑星系探査も進められています。


星のゆりかご S106

 多くの星がつぎつぎに生まれている領域 S106 (距離約 2000 光年) の赤外線画像です。明るい中心付近には若い大質量星があり、上下にひろがる砂時計状の構造は、この星から噴出した物質の流れが作り出した星雲と考えられています。また中心部分のくびれは、ガスや塵からなる巨大な円盤が大質量星を取り囲むように存在しているためと推測されています。さらにこの画像からは、恒星に比べて質量の軽い天体が多数存在していることがわかりました (この観測に用いられた赤外線カメラ CISCO は運用を終了しました)。



原始星エンベロープのシルエット

 M17 領域では新しい星が誕生しており、その背景には明るい星雲がひろがっています。すばる望遠鏡の赤外線観測で、形成中の星を覆う雲 (エンベロープ) の姿が、シルエットとして鮮明にとらえられました。この観測により、エンベロープが複雑な多重構造をもつことが初めて明らかになり、星の誕生に際して形成される星周円盤の理解に重要な手がかりが得られました。



さまざまな形状を示す原始星のまわりの円盤

コロナグラフ撮像装置 (CIAO) によるぎょしゃ座 AB 星 (左) と HD142527 (右) の赤外線画像。明るい中心星はコロナグラフ機能により隠されています。天体までの距離はそれぞれ約 470 光年、650 光年で、画像の一辺は約 1000 天文単位 (冥王星軌道の 10 倍余) にあたります。

 太陽のような比較的軽い星が生まれるときには、中心にできた原始星にまわりの物質が落ち込む途中で、回転するガスと塵からなる円盤が作られることが知られています。この円盤の中から惑星が誕生すると考えられており、星・惑星系形成の鍵を握るものです。
 すばる望遠鏡による原始星の観測は、この円盤が実は複雑で多様な形状をしていることを明らかにしました。ぎょしゃ座 AB 星 (左下) では、渦巻のような形状がこの種の天体では初めて見出され、HD142527 (右下) の円盤はバナナ状の弧が向かい合った形をしていることがわかりました。これらの発見は、われわれの太陽系とは異なったメカニズムで惑星系が作られていく可能性があることを示しています。



研究者からのコメント:

 すばるがもたらす広い視野とシャープな星像によって、星と惑星系の形成過程を、マクロとミクロの両方の視点で見ることができます。それにより、惑星ほどの軽い星から太陽の 100 倍もの重い星に至るまで、どの重さの星がどれくらい生まれるのか、惑星はどのように形成されるのか、といった重要な問いに答えることができ、さらには、若い巨大系外惑星の初撮影に結びつくことが期待されます。

田村元秀 国立天文台准教授





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