すばるを支える最新技術

世界最高精度の口径 8.2 メートル反射鏡

 望遠鏡が光を集める能力は、主鏡の面積に比例します。すばるの口径 8.2 メートルの主鏡は、7年の歳月と細心の注意をかけて製作された、世界で一番大きく、滑らかな一枚鏡です。


主鏡の鏡面誤差マップ

主鏡セルと組み合わせて測定した、すばる主鏡の鏡面誤差マップ。理想面からの平均誤差は 12 ナノメートル。人間の髪の5千分の1程度です。主鏡をハワイ島の大きさにしても、紙一枚の厚さ程度の誤差しかありません。


研磨工場へ移動中の主鏡材 (1994年)

主鏡のガラス材が製作されたのはニューヨーク州、研磨されたのはペンシルベニア州、望遠鏡を設置するのはハワイ州。運送には細心の注意が必要でした。



主鏡を支える能動光学

 口径8メートル級の一枚鏡を用いた反射望遠鏡を作るためには、能動光学と呼ばれる技術が必要となります。重さを最小限にするため、すばるの鏡の厚さは 20 センチメートルしかありませんが、これだと傾けた際に歪んでしまい、形を保持できません。そのため、261 本のアクチュエーターと呼ばれるロボットの指が主鏡を支え、望遠鏡がどの方向を向いても、常に鏡を理想的な形に保ちます。すばるの能動光学の特徴は、アクチュエーターの多さと、補正精度向上のために主鏡の裏に穴を掘ってアクチュエーターをはめ込む作業をとったことにあります。




アクチュエーターと主鏡

アルミニウムコーティングを施す前の主鏡。裏面に取り付けられたアクチュエーターが透けて見えています。



主鏡を裏から支えるアクチュエーター



ハイテク技術を駆使した望遠鏡駆動制御

 すばるは、世界の口径8メートル級望遠鏡の中では唯一、主焦点に装置を取り付けることのできる望遠鏡です。これを支える 500 トン余りの頑丈な構造は、摩擦を最小限に抑えるために油パッドの上に浮かべられており、最新のリニアモーターを取り入れた駆動システムで動きます。これにより、0.1 秒角の天体追尾精度が実現されました。




望遠鏡をのせるコンクリートピアと制御棟の基礎

「精密重工業」ともいえる製作過程をへて作られた望遠鏡を生かすためには、基礎工事が大切。望遠鏡を支えるコンクリートピア (白色の円柱部分) は 1993年に完成しました。



日本での仮組立 (1995年4月)

日本で仮組された望遠鏡機械構造。山頂のドーム内では、もはやこの全体構造を見ることはできません。右下の人物の大きさに注目。



空気の揺らぎを抑える円筒型ドーム

 水流実験 (下の写真) などで最良のドームの形を追求した結果、すばるには円筒型のドームを採用することにしました。風通しの良いこのドームは、外部の乱流を含んだ空気を持ち込まずに、内部の熱を効果的に排出することができます。



マウナケア山頂とドーム群

すばるの円筒型ドームは、マウナケア山頂に立ち並ぶ望遠鏡の中でも特徴的。



ドームの形状を決めるための水流実験



観測能率を向上させる観測装置自動交換システム

 観測装置の交換は注意を必要とする作業で、マウナケアのような高山では特に困難です。すばるでは素早く、安全、正確に観測装置を交換するために、自動交換装置を多く取り入れています。




カセグレン焦点部

カセグレン焦点観測装置自動交換システム (CIAX3) は、2時間で装置を交換します。



鏡筒トップリング

鏡筒トップリングの中央が主焦点。トップユニット交換装置が副鏡や主焦点カメラを取り替えます。



最高性能を維持する日常のメンテナンス

 鏡面の性能を維持するために、ドライアイスによる清浄は2週間おきに、アルミニウムの再蒸着 (コーティング) は2~3年おきに行われます。




CO2 クリーニング中のすばる望遠鏡の主鏡

ドライアイスを吹き付けて鏡面のほこりを掃除します。このシステムは、望遠鏡本体に組み込まれています。

関連トピックス:主鏡の清掃「CO2 クリーニング」 (2000年2月10日)



メッキされた主鏡

主鏡の再蒸着に必要な各種設備はドーム下部にあります。写真は、1998年に始めて蒸着が施された口径 8.2 メートル鏡。

関連トピックス:赤外線観測用副鏡を銀で再メッキ (2003年5月16日)
資料:2003年8月の再蒸着作業風景 (24 MB, キャプションは英語)





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