現代の天文学とすばる

 

 現代の天文学が挑んでいる宇宙は、星の誕生や死、銀河の衝突、宇宙の膨張など、さまざまな現象に満ちています。複雑な宇宙を科学的に調べるために、いろいろな観測手段が用いられています。

 

光学赤外線望遠鏡・すばる


 宇宙に関する情報の多くは、天体からとどく光 (電磁波) を分析することによって得られます。電磁波はその波長によって電波、可視光、エックス線などさまざまな種類に分けられますが、いまやほとんどの波長が天体観測に活用されるようになってきています。 このなかですばる望遠鏡が担うのは、可視光と一部の赤外線の観測です。可視光では主に、太陽のような恒星や、その集団である銀河が見えます。一方、赤外線は、星形成領域のように温度の低い天体や、宇宙空間の塵に隠されて可視光では見えにくい天体の観測に適しています。また、遠方の銀河のように、天体から放たれた紫外線や可視光が赤方偏移の効果によって赤外線として観測されることもあります。すばる望遠鏡は、これらのさまざまな天体を観測することができるように汎用望遠鏡として設計され、運用されています。



地上望遠鏡と宇宙望遠鏡


すばる望遠鏡FOCASによる不規則銀河M82の可視光画像。星からの光に加えて、中心部から噴き出す水素ガスからの放射 (赤色) が見えます。


 すばる望遠鏡が観測対象としている可視光と赤外線の一部(近赤外線および中間赤外線)は、電波とならんで地球大気の透過率が高い波長帯です。これに対し、エックス線や遠赤外線の観測のためには大気圏外に打ち上げられた望遠鏡が必須です。
 可視光と近・中間赤外線でも、地球大気の存在は観測に障害となります。ハッブル宇宙望遠鏡のように大気圏外から観測を行う望遠鏡に比べると、地上望遠鏡は普通に観測したのでは解像力の面ではかないません。しかし、近赤外線観測については補償光学(10ページ)が開発され、地球大気のゆらぎによる影響を克服した観測が可能になってきています。地上望遠鏡は大きな口径をもつことができるため、補償光学が進むと、宇宙望遠鏡を凌ぐ解像力を実現することが可能になります。また、中間赤外線においては、口径で優る地上望遠鏡が現在のところ解像力でも上回ります。
 また、地上望遠鏡は大きな口径を生かして、多くの光を集めることができます。天体の性質や距離を調べるには、光を波長ごとに細かく分ける分光観測が行われます。大型の地上望遠鏡は、この分光観測において大きな力を発揮しています。さらに、地上望遠鏡には、最新の観測装置を容易に搭載することができるという利点もあります。このように、宇宙望遠鏡と地上望遠鏡は役割分担をしながら観測研究を進めているのです。
 現在、世界には口径8メートル級の大望遠鏡が約10台稼働しています。それぞれの望遠鏡が独自性を発揮しつつ、協力して宇宙の謎に挑んでいます。


この銀河の中心付近のエックス線画像 (NASAチャンドラ衛星による)。明るいところはブラックホール周辺からのエックス線放射を示します。


近赤外線画像 (すばる望遠鏡CISCO)。


電波による画像 (野辺山宇宙電波観測所)。


 このように、いろいろな波長で観測することにより天体の全貌が見えてくるのです。


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