すばる望遠鏡
100億光年遠方の活動銀河と銀河団

低解像度(91 KB)
高解像度(386 KB)
【観測条件】
天 体 名:電波銀河3C324とそれを囲む銀河団
使用望遠鏡:すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO ((近赤外線カメラ)
フィルター:K'バンド(2.15 ミクロン)
カラー合成:赤色:すばる望遠鏡、近赤外線K'バンド(2.15 ミクロン)
      緑色:ハッブル宇宙望遠鏡、可視光赤 ((0.7 ミクロン) (*)
      青色:ハッブル宇宙望遠鏡、可視光青 ((0.45 ミクロン) (*)
観 測 日 時: 世界時1999 年4 月2 日
露 出 時 間:800 秒
視   野:約1.5 分角×2 分角
画像の向き:右ななめ上が北(ふれ角は上から右へ38 度)、左ななめ上が東
位   置:赤経(J2000.0)=17 時14 分10 秒、赤緯(J2000.0)=+50 度16 分(りゅう座)

【説 明】
 すばる望遠鏡の赤外線画像を、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光像と合成することにより、100億 光年遠方の活動銀河の姿と、それをとりまく銀河団が浮かび上がった。

 画像の中央やや右上に、小さいが赤色と青色がいりくんだ天体がある。左上隅の囲み内に示し たのが、この活動銀河3C324の新しい姿だ。およそ100億光年の彼方にあり、強力な電波を放つ この天体は、ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、激しくジェットを吹き出していることがわかっ た。囲み内の斜めに延びる数珠玉のような青い色がハッブル宇宙望遠鏡によるジェット、その中 心からぼやっと広がる赤い色の部分が、すばるがとらえた銀河本体の姿であり、それが巨大な楕 円銀河であることがわかる。宇宙が未だ現在の大きさの半分以下でしかなかった宇宙膨張の初期 の頃に激しく活動していた銀河の、このような立体的な姿がとらえられたのは、めずらしい。

 また、大きな画像の中央やや右寄りに、3C324の周りに散らばる15個あまりの赤い小さな光点 の群れは、すばるがとらえた3C324の仲間の銀河団である(右上の点線の外側は、ハッブル宇宙望 遠鏡のデータのない領域なので除く)。図中で青く見える天体は、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた 手前にある星や銀河である。これに対して赤い銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光映像ではほん の微かにしか見えておらず、すばる望遠鏡の赤外線映像によって初めて、明るくシャープにとらえ られた。これらは生まれてから10〜30億年を経た銀河で、既に大規模な星の形成を終えて赤っぽ い星が多く、宇宙膨張による赤方偏移と相まって、赤く見えるのである。

 地上望遠鏡として最高度の性能を達成したすばる望遠鏡は、そのシャープな赤外線映像をハッブ ル宇宙望遠鏡のシャープな可視光映像と組みあわせることを可能にした。その結果、100億光年彼 方の、華やかな銀河活動のぺージェントの映像が得られた。

(*) These images were created with the support of the Space Telescope Science Institute, operated by the Association of Universities for Research in Astronomy, Inc., from NASA contract NAS5-26555.

 


1999年6月10日
すばる望遠鏡、0.2秒角の星像を達成

低解像度(53 KB)
高解像度( 217 KB)

【観測条件】
使用望遠鏡: すばる望遠鏡(有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置: CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター: 近赤外線K'バンド(2.15ミクロン)
観 測 日 時: 世界時1999年5月7日
露 出 時 間: 5秒
図 の縦 軸: ピークの高さを1とした強度
図 の 横 軸: 角度(単位は秒角)

【説 明】
図は、すばる望遠鏡に赤外線カメラCISCOを取り付けて撮った恒星の像の明るさ分布を、縦 に切って示したもの。縦軸が像の明るさ、横軸は星像の広がりを示す角度。この図は、星像の 大きさ0.198秒角という、すばらしくシャープなイメージが撮れていることを示す。星像の大き さ0.2秒角というシャープな星の像は、補償光学(AO: Adaptive Optics)を用いない地上の望遠 鏡としては、これまで達成されたことのない快挙である。一方空気の揺らぎのない宇宙空間を 運行するハッブル宇宙望遠鏡は、0.2秒角を上回り0.1秒角を切るシャープなイメージを達成し てきた。すばる望遠鏡は1月のファーストライトにおいて、既に0.3秒角という地上望遠鏡とし て最高レベルの分解能を達成していたが、その後8m主鏡の能動支持機構の調整などを進めた結 果、地上望遠鏡による通常のイメージとして0.2秒角の分解能を達成したものである。すばる望 遠鏡は口径がハッブル宇宙望遠鏡の2.4mに較べ格段に大きく、こうしたシャープなイメージ の達成により同望遠鏡より遠方の宇宙も見ることが出来る。  またこれは同時に、マウナケア 山頂における大気揺らぎの少なさをも実証したもので、すばる望遠鏡の今後の観測に、ますま す大きな期待がかけられる。

(注) 星像の大きさ: FWHM (Full Width at Half Maximum) =半値幅サイズ、すなわち星像の明 るさ分布のピークに対し、半分の明るさのところでの星像の大きさで表わされる。望遠鏡の結 像性能(分解能)で決まる像の大きさと、大気の揺らぎ(シンチレーション)による像の拡がりと の足しあわせとなる。

(注) 補償光学: AO (Adaptive Optics) 地上望遠鏡に取り付けて大気揺らぎを実時間でキャン セルし、高い解像度のイメージを取る技術。これまでに、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡( CFHT 3.9m)や、Keck望遠鏡で実用に用いられ、0.1秒角を切る画像を得ている。すばる望遠鏡 でも、今年後半に補償光学を取り付け、さらなる高解像観測の試験を始める予定である。

 


1999年6月10日
Guidelines for use
他の年度へ
元のページに戻る ページの先頭へ
このサイトへのリンクについて・著作権お問い合わせ
Copyright
ページの先頭へ