すばる望遠鏡


 国立天文台は、日本の天文学を促進するための大学共同利用機関法人です。観測所のプログラム委員会が、よせられた観測提案の中から、科学的意義が高く、すばる望遠鏡に適した研究企画を選びます。半年ごとに行う募集には、国内外から毎回多数の観測申し込みがあり、2002年度後半期の競争率は6倍でした。
一年に一度開催される「すばる利用者会議」で、すばるの利用者とスタッフが、望遠鏡の現況と将来について討論します。

 観測時間の数パーセントは、すばるの威力を最大限に引き出すための大型観測計画に割り当てられています。
 「すばるディープフィールド(SDF)プロジェクト」は、宇宙初期の銀河を数多く発見することを主な目標としています。すばるの集光力と主焦点カメラの広い視野を生かした撮像観測を中心として、可視光、近赤外線の各観測装置の能力を極限まで利用する計画です。


 「原始惑星系円盤撮像サーベイ」は、星誕生の現場である原始惑星系円盤を多数撮像し、恒星や惑星の誕生過程を研究するためのデータベースを作る計画です。

 「すばる−XMMディープサーベイ(SXDS)」は、X-線天文観測衛星XMM-Newtonなど、他の望遠鏡と共同で進めている国際的プロジェクトで、1度角四方の領域をさまざまな波長で観測する計画です。これにより、銀河や活動銀河核の進化を研究するための基本的なデータを得ることができます。


 すばるには、大容量のデータ保管システムがあり、高速コンピューターネットワークで結ばれています。マウナケア山頂の望遠鏡、ヒロ山麓施設、東京都三鷹市にある国立天文台本部は、専用ネットワークによって直接つながれています。山頂での観測後、データは5分以内にヒロと三鷹に送信され、日本にいる研究者は、山頂施設にいるのと同じようにデータにアクセスできます。この高速ネットワークを用いて、将来は日本からの遠隔操作での観測が可能となる予定です。

 ヒロ山麓施設には、データ解析用のスーパーコンピューターがあります。これは観測によって得られる大量データの処理・解析に用いられるほか、ハワイ大学の気象学者との協力による、マウナケア山頂の気象予報にも用いられています。すばるの主鏡は、鏡と周囲の温度差による星像の乱れを最小限に留めるため、日中は予報された夜間気温にあわせて冷やされます。また将来は、天候に合わせて望遠鏡の観測装置を選ぶことも可能になります。
 ハワイ観測所では、日本の学校や科学館に向けての遠隔講演や、現地ハワイ島での一般講演会などを通して、教育普及活動を推進しています。

  


 日本の学校や科学館に向けて、テレビ会議システムによる遠隔講演や遠隔授業を実施しています(左)。観測所のあるハワイ島では、一般講演会(中)や学校でのイベント(右)を通して、地域住民への教育普及活動を推進しています。 山麓施設における講演・授業は予約制で、時間帯は平日の午前9時から午後4時の間です。


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