コラム:HDS
HDSは分光観測専用の装置で、光を10万色以上に分けるという、普通の分光器より100倍くらい細かく分光できる性能を持っています。光を細かく分けるため、装置自体も大きく、重さでいえば6トンもあります。これはすばるの装置の中で最も重いものです。光を非常に細かく分ける場合、装置に少しでもズレが生じると、それぞれの細かい色の違いが不明瞭になってしまいます。そのため、HDSはナスミス台という、望遠鏡の横に備え付けられた台の上に常設されており、付け替えられたり、望遠鏡と一緒に傾いたりすることはありません。星の光を細かく色に分けて観測するので、HDSで観測する場合は、他の装置よりは明るめの天体が目標になります。多くの色、つまり広い波長を一度に観測できるのも、HDSの特徴のひとつです。
この装置は主に、星の科学組成を詳細に研究したり、ドップラー効果を測って星やガスの動き(近づいているか遠ざかっているか)を研究したりするのに使われています。恒星の周囲を惑星がまわると、惑星の重力に影響されて構成が非常にわずかな前後運動をしますが、HDSはこのような微小な運動を検出するための機能もそなえているため、太陽系外惑星の研究にも使用できる装置です。
(サポートアストロノマー田実晃人さんとの2002年末のインタビューより)
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