微光天体分光撮像装置 FOCAS
(Faint Object Camera and Spectrograph)
多彩な機能で暗い天体に挑む

撮像観測・分光観測・偏光観測など、すばるの可視光の基本的な観測モードを引き受けるカセグレン観測装置です。マルチスリット分光モードでは銀河団のような目的天体が集団で分布している場合に100天体までの分光観測を同時に行うことができます。
銀河から噴き出す真紅の光

FOCASがとらえた不規則銀河M82 (距離約1200万光年)。上下に伸びる赤い光は電離水素ガスによるもので、銀河中心付近の活発な活動性を物語っています。
観測成果:FOCASがファーストライト! (2000年3月)
分光観測で最も遠い銀河を確認
FOCASは、視野の中の多くの天体にスリットを当てて、一度に複数の天体のスペクトルを得ることができます。左の図は、どの天体にスリット (赤で示した) を合わせるか決定したところ。中央の図は、実際に観測を行って得られたスペクトル。それぞれのスリットに入った銀河のスペクトルが縦方向に写っています。右の図で示したのは、一つひとつ銀河のスペクトル (横軸が波長、縦軸が光の強さ)。ライマンαと呼ばれる水素の輝線の波長から、このうち一つが、観測史上最も遠方にある銀河であることが分かりました。
拡大画像... 左 (153KB) / 中 (96KB) / 右 (25KB)
コラム:主焦点カメラ
主焦点カメラは一言で言うと、非常に暗い天体を観察するための超巨大デジカメです。ご存知のとおり、すばる望遠鏡は、世界の8メートル級の中で最も広い視野を一度に撮影できる主焦点を持ちます。その主焦点を生かさずにすばるの特長を出すことはできない、というのが主焦点カメラを作った最大の理由です。主焦点カメラを用いれば、夜空の広い領域を、非常に暗い天体まで、一度に撮影することができます。
しかし、主焦点は非常に広い視野を持つという特徴がある反面、望遠鏡や観測装置に要求される制度が非常に高く、製作は容易ではありません。このような難事業に挑戦したのは、世界中ですばるだけだったのです。道は険しかったのですが、その甲斐あって、主焦点カメラは世界の中でも非常にユニークな装置として活躍していて、すばるの特長の一つとなっているのです。
観測装置の故障はどの世界にもつきもので、観測中に故障が起きないように、日頃メンテナンスに努めています。しかしトラブルは起きるもの。いったん観測中に故障が起きると主焦点カメラを修理するのは非常にたいへんなことです。主焦点は望遠鏡の筒先にあるため、修理をするためにはクレーンのようなものに乗って、10メートルくらいの高さまで登って行かなければなりません。しかも手探りの作業も多く、とても神経を使います。
(主焦点カメラ サポートアストロノマー小宮山裕さんとの2002年末のインタビューより)
補償光学の将来計画:
現在のAOを用いた観測と並行して、改良計画も進行中です。一つ目は、可変形鏡のアクチュエーター数を増やし、シーイングが悪い時にも、ゆらぎをより補正できるようにすることです。二つ目が、レーザーガイド星の導入です。現在のAOでは、観測したい天体の近くに明るい星(ガイド星)が必要で、夜空のほんの少しの天体に対してしか、大気ゆらぎをうまく補正できません。レーザーを上空90kmにあるナトリウム層に照射して、夜空に人工的にガイド星を作れば、それを用いて、大部分の天体に対して、大気ゆらぎを補正できるようになります。


