2008年11月20日
すばる望遠鏡の新しい眼 -- 世界最高感度のCCDを搭載 --
国立天文台の先端技術センターとハワイ観測所、浜松ホトニクス(株)、京都大学、大阪大学は、従来に比べて高感度な性能を持った、光を電気信号に変換する素子 (電荷結合素子:CCD) の開発に成功しました。すばる望遠鏡に取り付けて行った試験観測からは、波長 10,000 オングストロームにおける感度がこれまでの CCD の 2 倍に達成されていることが示されています。このような性能の向上により、宇宙で最初に誕生した天体の発見をはじめとする遠方宇宙の研究や、ダークエネルギーの研究など、観測天文学の最先端分野に多大な貢献が期待されているところです。性能が確認された試験観測の直後より、高感度 CCD はすばる望遠鏡の共同利用観測で利用されています。
2008年10月30日
すばるが挑む宇宙の環境問題 〜 80 億年前と 85 億年前の銀河集団の発見 〜
すばる望遠鏡が約 80 億年前と約 85 億年前の二つの巨大な銀河集団、銀河団を観測しました。その結果、これらの巨大銀河団を取り囲むように、より小さな銀河集団である銀河群が散在し、すでに大きな構造を形づくっている可能性があることがわかりました。このような構造の中にいる銀河は、「宇宙の環境問題」の解決に向けた手がかりを与えてくれます。
2008年10月6日
すばる、銀河から飛び出す火の玉を発見
国立天文台と東京大学の研究者からなる研究チームが、すばる望遠鏡主焦点カメラを用いて、かみのけ座銀河団を観測し、銀河から延びるフィラメント状の不思議な構造を発見しました。この構造は若い星と電離ガスからなり、銀河団中の銀河RB199から南に約26万光年にわたって広がっています。あたかも銀河RB199からいくつものかたまりがまっすぐに飛び出しているかのような、その形態にちなんで、研究チームはこの構造を「火の玉(fireballs)」と呼んでいます。かみのけ座銀河団に高速で落ちこんでいる銀河が、銀河団中心部を満たしている高温ガスと激しく衝突した結果、銀河内のガスがはぎ取られて、このような特異な構造を作ったものと考えられます。はぎ取られたガス中では星が生まれており、「火の玉」は銀河間空間で星を作る現場ともなっています。今回の発見は、銀河団中の銀河進化や、銀河間空間での星生成を探る上で重要な手がかりを与えると、研究チームは考えています。
2008年9月10日
宇宙にはどれほど冷たい星があるのか?〜摂氏280度の星を含む多数の低温褐色矮星の発見〜
国立天文台を含む日本や英国等からなる研究チームは、広域赤外線探査 (UKIDSS:ユーキッズ) のデータから超低温天体候補を精選、すばる望遠鏡やジェミニ望遠鏡を用いたスペクトル観測から大気温度を推定して「宇宙にどれほど温度の低い星があるか」という探査を進めています。これまでに28個ものT型星 (摂氏1,200度以下の低温褐色矮星) を発見し、探査手法が非常に有効であることを示しました。惑星を除くと、これまでで最も低温 (摂氏約280度) の星の発見にも成功しています。
2008年7月10日
123億光年彼方でベビーブーム中のモンスター銀河を発見!
カリフォルニア工科大学、愛媛大学などの国際共同研究チームは、すばる望遠鏡をはじめNASAのハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡を含む複数の望遠鏡を駆使して、地球から遠く離れた123億光年彼方の宇宙に驚くべき勢いで星々を生み出しているモンスター銀河を発見しました。この銀河は、1年間あたり1000個から4000個という、私たちの住んでいる天の川銀河に比べて数百倍もの勢いで星をつくっており、いわば『ベビーブーム』の最中です。いずれこのモンスター銀河は、近傍の宇宙で観測される巨大楕円銀河に進化すると考えられています。
2008年5月29日
300 年の時を経て明かされた超新星の正体 ? 超新星残骸カシオペヤ A の可視光の「こだま」を解読〜
過去に何が起きたのかを知るために、タイムマシンで時間を戻したいと思ったことはありませんか。天文学者もまったく同様です。彼らは日夜、何光年ものかなたから届く光を観測していますが、それでも現在地球に届く光しか見ることはできません。今回は、天文学者が時間を遡り、300年前の地球に届いた光をもう一度受信した、という成果を報告します。ただしタイムマシンではなく、光の「こだま」を使って。
2008年5月7日
土星大気の振動を発見
国際研究チームは、土星の大気が振動していることを発見しました。20年以上にもわたり、NASA の研究者らは土星の上昇大気の温度変化について、マウナケア山頂にある望遠鏡や最近ではカッシーニ土星宇宙探査機によるデータから調べてきました。その結果、土星の赤道の南北方向にまるで波が前後するように温度変動が起こっていることがわかりました。すばる望遠鏡も今回の観測には重要な役割を果たしており、ハワイ観測所の二人の研究者が本プロジェクトに参加しています。地球大気や木星大気にも類似の現象が見られており、今後の観測も合わせ土星大気の温度変化の要因を解明できることが期待されています。
2008年3月24日
125億光年彼方の生まれたての小さな銀河 ―すばるで見つけ、ハッブルで極める―
愛媛大学、東北大学、カリフォルニア工科大学などからなる研究チームは、すばる望遠鏡で発見した125億光年彼方にある80個の銀河をハッブル宇宙望遠鏡の高性能サーベイカメラで撮影し、17個の銀河はまだ4000光年程度の大きさしかないことを明らかにしました。これだけ多数の生まれたての銀河の詳細な形態をハッブル宇宙望遠鏡で系統的に調べたのは世界で初めてです。今回観測された生まれたての銀河は、現在の銀河に比べて数十分の一の大きさしかありません。これらの銀河はその後100億年以上の時間をかけて合体を繰り返し、現在観測されるような大きな銀河に成長してきたことを意味します。まさに理論的な研究で予想されている銀河形成の現場を捉えたと考えられます。
大質量星の終焉と塵の誕生の現場 ―「あかり」衛星と「すばる」望遠鏡などによる観測と理論モデルが解き明かす超新星爆発の素性―
東京大学、北海道大学、広島大学などの研究者からなるグループは、すばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置(FOCAS)と共に、赤外線天文衛星「あかり」、MAGNUM望遠鏡、かなた望遠鏡を用いて、超新星2006jcの可視から赤外線にわたる多波長観測を行いました。すばる望遠鏡等による超新星2006jcの爆発以後半年間に及ぶ継続的な可視光観測からは、爆発から約二ヶ月を過ぎたころより、超新星が可視光で急激に暗くなる様子が観測されています。「あかり」衛星による赤外線観測と併せて、終焉を迎えた星が超新星爆発による放出物質中で宇宙塵が誕生する現場を捉えることに成功しました。同時に、これらの観測データと最新の理論モデルとの比較を通じて、太陽の40倍以上の質量の星が一生の中で度重なる質量放出活動を経て超新星爆発に至るまでの過程を明らかにいたしました。
2008年2月20日
重力レンズ効果による銀河を遠方宇宙に多数発見
COSMOSプロジェクトを進める国際研究チームは、遠方宇宙にある大質量の楕円銀河とレンズ状銀河の周辺に 67個もの重力レンズ効果を受けた銀河を発見しました。 同プロジェクトには、すばる望遠鏡をはじめとする地上望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡など、世界各国の大型望遠鏡が参加しています。 本成果は強い重力レンズの多様性を示しており、仮にこの結果が統計的に有意であるならば、同じような重力レンズが全天に 50万個ほど存在することがわかりました。さらに多くの重力レンズが発見されれば、宇宙に広がる銀河の質量が解明されることになるでしょう。
2008年2月8日
すばる、最も軽い星の円盤の撮像に成功 〜地球型惑星の誕生の場か?〜
総合研究大学院大学、国立天文台などの研究者からなるチームが、すばる望遠鏡コロナグラフ・カメラを用いてFN Tau(おうし座FN星)とよばれる、重さが太陽の10分の1しかない若い星の観測を行い、惑星が生まれる現場である原始惑星系円盤を直接撮像することに成功しました。
2008年1月31日
「超新星は丸くない:すばる望遠鏡で爆発する星の内部を探る」
東京大学・広島大学などの研究者からなるグループは、すばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置(FOCAS)を用いて爆発から200日以上経過した超新星を15天体観測し、超新星の形状が球対称でないことを明らかにしました。大質量星が一生の最後に起こす超新星爆発が「丸くない」というその結果は、現代天文学上の未解決問題のひとつである超新星の爆発メカニズムに迫る初の観測成果として、今後 の超新星やガンマ線バーストの研究に大きな影響を与えることが期待されます。